ラサ工業(4022)

銘柄情報

当サイトに掲載されている投資に関する見解は、個人の主観・感想を元に作成したものであり、特定の銘柄・金融商品の勧誘や上昇・下降を予想/示唆するものでもありません。また、運用成果や投資収益を保証するものではありません。最終的な投資の意思決定はご自身の責任と判断でお願いします

※本記事は2023年3月期決算発表時点の情報を元に作成してます

はじめに

結論

当サイト独断判定Bー(慎重に組み入れを検討)

配当水準 : A-
利回り4%台(執筆時点)で、過去7年間増加傾向減配無し。直近の配当性向は20%台で余裕があり、配当方針も金額ベースと推測されるめ大きな減配のリスクは低い

財務指標 : B+
売上は過去10年横ばい期間はあるも概ね増加傾向直近は大きく上昇。経常利益率は直近9%台で業界平均水準。自己資本比率も40%台と比較的良好。営業キャッシュフローは過去10年プラスで現金資産も十分

事業内容 : C
若年層依存度は低い。15%程度の台湾事業があり、主力製品の製造拠点も存在するため地政学的リスクが高い。景気敏感性が高いが欧米事業比率は1%以下のため、今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトは低い

配当水準


  • 配当利回り:4.0% (24年3月期予想)※執筆時点の株価ベース

日本株で高配当と言われる水準の3%を大きく上回っていますので文句なく合格点です。

  • 配当性向:25.0%(24年3月期予想)
  • 配当金(絶対額): 過去7年間増加傾向(減配なし)

配当金は、2017年の20円から2023年の82円まで減配なく増加しています。特に2022年は45円⇒70円と大幅に増加しています。これは配当性向を上げたわけではなく、利益が大幅に増加したためです。

配当方針は、明確な記載はありませんが、2018年から2020年まで金額40円で変わらず、2024年の配当予想も2023年と同額の82円となっていることから金額ベースと推測します。

直近の配当性向は無理の無い水準で、過去減配も無く、配当方針も金額ベースと思われるため、今後も大きな減配はせずに安定した配当を十分期待できるでしょう。

財務指標


  • 売上 : 過去10年増加傾向(直近で大幅増加)

2014年の約214億円から2023年の496億円まで、横這い期間(2019年~2021年)はあるものの基本的に増加傾向となっています。

特に直近の2023年は約354億円⇒約496億円と大幅に増加しています。

  • 営業利益率:9.32%(23年3月期実績)

2014年からの10年間は4%台~9%台の間で推移しており、直近の3年間は9%台で安定しています。ただし、2024年は7%台に低下予想となっております。

「化学」業種の営業利益率がおおよそ8%程度であり、業界平均並みの営業利益率でしょう。

  • 自己資本比率:48.6%(23年3月期実績)

40%を越えていますので、優秀とまでは言えませんが問題無いレベルです。今後金利が上昇した際に減益・減配のリスクはありますが、倒産するリスクは低いでしょう。

  • フリーキャッシュフロー:直近10年でマイナス2回
  • 現金資産:直近配当の約9年分(23年3月期実績)

ここ10年でフリーキャッシュフローのマイナスが2回ありますが、営業キャッシュフローは全てプラスとなっています。

現金は2023年時点で約49億円の残高となっており、これは直近配当実績の約9年分と十分な金額です。

営業キャッシュフローはプラスを10年以上キープしており現金残高も十分ありますので景気悪化等で一時的に利益が減少した際も、しばらくは現金資産を取り崩して配当を維持することは可能でしょう。

事業内容


  • 海外事業比率:35.2%
  • 地政学的リスクがある国・地域での事業:台湾(15.2%)

半導体向けリン酸等の化成品の製造・販売が主な事業内容となっています。

中国単体の比率はわかりませんが、中国を含む「その他アジア」地域での売上は6.8%程度ですのでリスクは限定的でしょう。

しかし、台湾の売上が15%程度あり、ホームページに台湾での生産拠点1か所の記載があります。

生産拠点は他にも韓国に1か所、国内に10か所程度ありますが、主力の半導体向け高純度リン酸の製造工場は国内1か所、韓国1か所とこの台湾拠点の計3か所しかないように見えるため、地政学的リスクは高めと考えます。

欧米を含む「その他」の市場比率1%程度となっており、今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトは低いでしょう。

  • 若年層依存度:なし

半導体向けリン酸等の化成品の製造・販売が主な事業内容であり、若年層に偏ったビジネスではないため、今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。

  • 景気敏感性:高い

業種分類としては景気動向に敏感な「化学」に該当し、ベータ値も執筆時点で「1.41」であり景気敏感性は高いと考えます。ただ、欧米での事業比率が小さいため、今後欧米の景気が悪化した場合の影響は少ないと想定します。

まとめ

「配当水準」は過去減配もなく、配当性向も余裕があり問題ありません。

「財務指標」は自己資本比率が40%台と若干物足りない部分はありますが、基本的に問題はありません。

「事業内容」で主力製品の製造面での地政学的リスクが高く注意が必要です。

過去減配も無く財務も良好なため、基本的には安定した高配当が期待できますが、地政学的リスクが高いため、慎重に検討した上での投資判断が必要でしょう。

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