※本記事は2023年3月期決算発表時点の情報を元に作成してます
はじめに
結論
当サイト独断判定:B(組み入れを検討しても良い)
配当水準 : B+
利回り4%台(執筆時点)で過去10年は増配傾向も減配2回。配当性向は10%台でかなり余裕のある水準だが、配当方針が配当性向ベース(30%)で過去実際に減配しているため、今後の減配リスクに一定の注意が必要。
財務指標 : B+
売上は21年に一時減少するも増加傾向。営業利益率は8%台で業界平均以上で自己資本比率も40%台と比較的良好だが、直近の有利子負債増加には注意が必要。営業キャッシュフローは過去10年プラスで現金資産も十分余裕あり。
事業内容 : B
若年層依存度は低い。最大で15%程度の中国事業があり、依存度はそこまで大きくないが製造拠点も存在するため地政学的リスクに注意。景気敏感性が高く北米事業もあるが、事業比率は最大でも1割程度のため、今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトは限定的。
配当水準
- 配当利回り:4.1% (24年3月期市場予想)※執筆時点の株価ベース
日本株で高配当と言われる水準の3%を大きく上回っていますので文句なく合格点です。
- 配当性向:15.6%(24年3月期市場予想)
- 配当金(絶対額): 過去10年増加傾向(減配2回)
配当金は過去10年で50円から200円と増加傾向ですが、20年/21年に2回減配しています。
2022年に大幅に増配(110円⇒190円)していますが、これは国内の粗鋼生産量増加に伴う耐火物販売数量の増加により利益が大幅に増えたこと主な要因になります。
また、配当方針は配当性向ベース(30%)になっていますが、固定資産売却益等の一時的な利益を除く方針となっているため、実質的にはこれより下回る事があるとしています。
直近配当性向は余裕がある水準ですが、配当方針が配当性向ベースでかつ低めの水準であり、その方針をかなり厳密に守って実際に過去2回減配しているため減配リスクにはある程度注意が必要と考えます。
財務指標
- 売上 : 過去10年増加傾向(一時減少し回復)
2014年以降で約968億円から約1249億円まで増加傾向ですが、途中2021年に比較的大きく減少し直近で回復している形になっています。なお、2024年は約1400億円まで大きく増加する予想となっています。
- 営業利益率:8.68%(23年3月期実績)
直近10年で4%台から9%前後まで増加していますが、2019年以降は横ばい傾向となっています。
「ガラス・土石」業種の平均的な営業利益率は7%程度ですので、比較的優良な営業利益率と考えます。
- 自己資本比率:47.3%(23年3月期実績)
40%を越えていますので、優秀とまでは言えませんが問題無いレベルです。今後金利が上昇した際は減益・減配のリスクはありますが、倒産するリスクは低いでしょう。
ただ、有利子負債が直近で増加しており、今後の推移には一定の注意が必要です。
- フリーキャッシュフロー:直近10年でマイナス2回
- 現金資産:直近配当の約10年分(23年3月期実績)
ここ10年でフリーキャッシュフローはマイナスが2回ありますが、営業キャッシュフローは常にプラスとなっています。
現金は2023年時点で約182億円の残高があり、これは直近配当実績の約10年分と十分余裕がある金額です。景気悪化等で一時的に利益が減少した際も、現金資産を取り崩して配当を維持することが可能でしょう。
事業内容
- 海外事業比率:20.1%
- 地政学的リスクがある国・地域での事業:中国(工場4か所、営業拠点1か所)
事業内容は、鉄鋼業界向け耐火物の製造・販売となっています。
海外事業は2割程度あり、中国単体の比率はわかりませんが、アジア・オセアニア地域で15%程度の売上があり、最大でその程度の販売面での地政学的リスクは想定しておく必要があるでしょう。
また、決算資料では中国での生産拠点4か所の記載があります。生産拠点は他にも海外に10か所、国内に7か所あるため、そこまで大きなリスクではありませんが、製造面での地政学的リスクもそれなりにあると考えます。
また、2022年に北米とブラジルの事業をフランスの会社から譲り受けたとの記載があり、2023年は130億円程度の売上見込みとの記載があります。
北米事業単体の事業比率はわかりませんが、前述の情報より最大でも130億円、約10%程度と考えられるため、今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトは限定的と思われます。
- 若年層依存度:なし
事業内容が鉄鋼業界向け耐火物の製造・販売となっており、特定の年齢層をターゲットとしたビジネスではないため、今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。
- 景気敏感性:高い
業種分類としては景気動向に敏感な「ガラス・土石製品」に該当し、ベータ値も執筆時点で「1.26」あり景気敏感性は高いですが、欧米での事業比率が限定的のため、今後欧米の景気が悪化した場合の影響は限定的と想定します。
まとめ
「配当水準」は良好ですが配当方針が厳密な配当性向ベースであり、減配リスクに一定の注意が必要です。
「財務指標」は自己資本比率が40%台と若干物足りない部分があり、有利子負債の増加にも一定の注意が必要ですが、現金資産は十分あります。
「事業内容」は一定の地政学的リスクがあり注意が必要です。
地政学的リスクと減配リスクが少なからず存在しますが、財務は比較的良好で倒産リスクも小さいため、基本的には安定した高配当が期待できるため高配当投資の一角として検討しても良いでしょう。
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