※本記事は2023年3月期決算発表時点の情報を元に作成してます
はじめに
結論
当サイト独断判定:B+(組み入れを検討したい)
配当水準 :B+
利回り4%台(執筆時点)。金額は過去10年上昇傾向も減配1回あり。配当性向は直近40%で無理のない水準も配当方針が配当性向ベース(40%)で、直近も減配予想となっており、今後の景気悪化時の減配リスクに注意。
財務指標 : A
売上は過去10年上昇しており、営業利益率は直近15%台で業界上位。自己資本比率も60%台と優秀で、営業キャッシュフローは過去10年プラスで現金資産も余裕あり。
事業内容 : C
中国事業が13%程度存在し製造拠点も存在しているため地政学的リスクあり。ただし工場は中国以外にも多くあり生産リスクは比較的抑えられると考える。若年層依存度は低いが欧米の事業比率が大きく景気敏感性も高いため、今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトは大きい。
配当水準
- 配当利回り:4.7% (24年3月期予想)※執筆時点の株価ベース
日本株で高配当と言われる水準の3%を大きく上回っていますので文句なく合格点です。
- 配当性向:40%(24年3月期予想)
- 配当金(絶対額): 2014年以降上昇傾向(2021年に一度減配)
配当金は2014年の28円から2023年の166円まで上昇傾向ですが、2021年に一度減配しています。
2022年に前年比60%以上の大幅上昇しています。これは、これまで30%前後で変動していた配当性向が、2022年から配当方針を配当性向ベース(40%)に変更したことで引き上げられたことと、自動車向け販売が好調で利益が大きく増加したが原因です。
2023年は2022年と同様の大幅な利益増加を見込み配当金も大幅に増額しましたが、結果的に10%程度の増益に留まったため配当性向は50.9%に増加してしまっています。2024年は利益はほぼ横ばい見込みのため配当性向40%の方針に従い減配予想となっています。
配当性向は40%と無理のない水準ですが、配当方針が配当性向ベースで過去に実際に減配していることからも、今後のさらなる減益による減配リスクには注意が必要です。
財務指標
- 売上 : 過去10年で順調に上昇
2014年からの10年間で、約3300億円から約5600億円に順調に上昇しています。
- 営業利益率:15.86%(23年3月期実績)
2014年からの10年間は11~17%台の間で変動しており、平均すると15%程度になります。「ガラス・土石」業種の中でも上位になりますので優秀な数値と考えます。
- 自己資本比率:62.4%(23年3月期実績)
60%を越えた高い自己資本比率となっています。有利子負債が若干増加傾向なのが気になりますが、このレベルの自己資本比率であれば今後金利が上昇しても、それによる倒産や減益・減配のリスクは低いでしょう。
- フリーキャッシュフロー:直近10年で4回マイナス
- 現金資産:直近配当の約12年分(23年3月期実績)
ここ10年でフリーキャッシュフローのマイナスが4回ありますが、営業キャッシュフローはプラスをキープしています。現金は2023年時点で約2016億円の残高があり、これは直近配当実績の約12年分と十分余裕がある金額です。
営業キャッシュフローが毎年プラスで現金残高も十分ありますので景気悪化等で一時的に利益が減少した際も、しばらくは現金資産を取り崩して配当を維持することは可能でしょう。
事業内容
- 海外事業比率:78.5%
- 地政学的リスクがある国・地域での事業:中国(13.5%)
プラグやセンサ等の自動車部品とセラミック製品(半導体製造用等)が主な事業内容となっています。
中国向けが13.5%程度あり、ホームページには中国の製造・販売拠点も2か所記載されており地政学的リスクがそれなりにあるでしょう。ただし、製造拠点は中国以外にも20か所以上あるため生産の地政学的リスクは比較的抑えられるでしょう。
また事業の24.4%が米国向けでドイツ向けも17.7%あるため今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトは大きいと思われます。
- 若年層依存度:なし
自動車や半導体製造用の部品/製品が主な事業内容であり、若年層に偏ったビジネスではないため、今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。
- 景気敏感性:高い
業種分類としては景気動向に敏感な「ガラス・土石製品」に該当し、ベータ値は執筆時点で「1.35」であり景気敏感性は高いと考えます。そのため、今後景気が悪化した場合の影響は大きいと想定します。
まとめ
「配当水準」は良好ですが、配当方針が配当性向ベースのため減益した際は基本的に減配となる点は注意が必要です。
「財務指標」は問題はありませんが、「事業内容」に地政学リスクがあります。また海外依存度が大きく景気敏感性も高いため、今後欧米の景気が悪化した際の減益・減配のリスクに注意が必要です。
しかしながら、財務良好で倒産リスクも小さいため、基本的には安定した高配当が期待できるため高配当株投資の一角として検討に値するでしょう。
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