バルカー(7995)

銘柄情報

当サイトに掲載されている投資に関する見解は、個人の主観・感想を元に作成したものであり、特定の銘柄・金融商品の勧誘や上昇・下降を予想/示唆するものでもありません。また、運用成果や投資収益を保証するものではありません。最終的な投資の意思決定はご自身の責任と判断でお願いします

※本記事は2023年3月期決算発表時点の情報を元に作成してます

はじめに

結論

当サイト独断判定B+(組み入れを検討したい)

配当水準 : B+
利回り4%台(執筆時点)。直近10年間で減配1回あるも増加傾向。直近の配当性向は50%台で無理の無い水準だが、配当方針が還元性向ベース(50%)のため減配リスクに一定の注意が必要

財務指標 : B+
売上は20年/21年に一時減少も直近で元の水準以上に回復営業利益率は14%台と高く、自己資本比率も60%台で優秀。営業キャッシュフローは10年間プラスも、現金残高は直近配当の約3年分と心許ない

事業内容 : B
若年層依存度は低いが、中国での製造・販売拠点が存在し地政学的リスクあり。ただし、工場は中国以外にも多くあり生産リスクは比較的抑えられ中国での販売比率も高くはないと考えられる。景気敏感性は高いが欧米向け事業比率が低いため欧米景気の悪化によるリスクは低い

配当水準


  • 配当利回り:4.4% (24年3月期予想)※執筆時点の株価ベース

日本株で高配当と言われる水準の3%を大きく上回っていますので文句なく合格点です。

  • 配当性向:50.0%(24年3月期予想)
  • 配当金(絶対額): 過去10年間増加傾向(減配1回)

配当金は、2021年に一度減配したものの2014年の50円から2023年の150円までほぼ毎年増加しています。

配当方針は、自社株買いを含めた株主還元性向ベース(50%目標)としています。

直近の配当性向は無理の無い水準ですが、配当方針が還元性向ベースのため減配リスクには一定の注意が必要です。

財務指標


  • 売上 : 過去10年増加傾向(一時減少も回復)

2019年の約512億円まで増加傾向で2020年/2021年で一時約447億円まで落ち込むも、約622億円まで直近で元の水準以上に回復してます。2024年は約620億円と横ばい予想となっています。

  • 営業利益率:14.28%(23年3月期実績)

2014年から2019年までに5%台から11%前後まで増加。2020年/2021年に8%前後まで落ち込みましたが、直近では14%台まで回復・増加しています。2024年は12%台に低下予想となっております。

「化学」業種の営業利益率がおおよそ8%程度であり、業界平均からもまた一般的にも優秀な営業利益率と考えます。

  • 自己資本比率:66.0%(23年3月期実績)

60%台の高い自己資本比率となっており、今後金利が上昇しても、それによる倒産や減益・減配のリスクは低いでしょう。

  • フリーキャッシュフロー:直近10年プラス
  • 現金資産:直近配当の約3年分(23年3月期実績)

ここ10年でフリーキャッシュフロー、営業キャッシュフローともに常にプラスとなっております。

現金は2023年時点で約82億円の残高となっており、これは直近配当実績の約3年分と心許ない金額です。

キャッシュフローはプラスですが、現金残高が配当と比較して少ないため、今後景気悪化等で一時的に利益が減少した際の減配リスクには注意が必要です。

事業内容


  • 海外事業比率:35%
  • 地政学的リスクがある国・地域での事業:中国

石油化学/製鉄/エネルギープラントや半導体製造装置等の配管・機器用シール材の製造・販売が主な事業内容となっています。

中国を含む「アジア」地域の販売比率は25.5%あり、ホームページに海外拠点として、中国での生産・販売会社1か所、輸出入・販売会社1か所の記載があり地政学的リスクには十分注意が必要です。

ただし、工場は国内・韓国・台湾・タイ・ベトナム・北米と合計9か所程度あるため、生産の地政学的リスクは比較的抑えられるでしょう。

アジアの内、どの程度が中国向けか不明ですが、韓国・台湾・タイ・シンガポール・ベトナムにも販売拠点があるため、中国向けの比率もそこまで大きくはないと想像します。そのため販売面の地政学的リスクもある程度抑えられるでしょう。

海外事業比率は35%あり、内訳は、アジアが26%弱、北米が9%程度、その他が1%未満となっています。欧米の市場比率は低いため、今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトは低いでしょう。

  • 若年層依存度:なし

配管・機器用シール材の製造・販売が主な事業内容であり、若年層に偏ったビジネスではないため、今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。

  • 景気敏感性:高い

業種分類としては景気動向に敏感な「化学」に該当し、ベータ値も執筆時点で「1.30」であり景気敏感性は高いと考えます。ただ、欧米での事業比率が低いため、今後欧米の景気が悪化した場合の影響は小さいと想定します。

まとめ

「配当水準」は良好ですが、配当方針が還元性向ベースのため減配リスクに一定の注意が必要です。

「財務指標」は自己資本比率は優秀ですが、現金残高が直近配当に比べて心許なく、減配リスクに注意が必要です。

「事業内容」は中国の地政学リスクが若干あり注意が必要ですが、欧米の事業比率は低く、欧米の景気が悪化した際の減益・減配のリスクは低いでしょう。

減配や地政学的リスクにはある程度注意が必要ですが、自己資本比率は良好で倒産リスクも小さく、基本的には安定した高配当が期待できるため高配当株投資の一角として検討に値するでしょう。

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