AGC(5201)

銘柄情報

当サイトに掲載されている投資に関する見解は、個人の主観・感想を元に作成したものであり、特定の銘柄・金融商品の勧誘や上昇・下降を予想/示唆するものでもありません。また、運用成果や投資収益を保証するものではありません。最終的な投資の意思決定はご自身の責任と判断でお願いします

※本記事は2022年12月期決算発表時点の情報を元に作成してます

はじめに

結論

当サイト独断判定Bー(慎重に組み入れを検討)

配当水準 : B
利回り4%台(執筆時点)。過去10年増加傾向減配なし配当性向は直近予想50%台と若干高く、配当方針が配当性向ベース(40%)であり、近年高騰した苛性ソーダに価格動向次第で今後の減配リスクには十分注意

財務指標 : B
売上は過去10年近く横這い価格高騰で近年大幅上昇。営業利益率は直近9%台で業界平均以上で、自己資本比率も40%台と比較的良好。営業キャッシュフローは過去10年プラスも現金資産は直近配当の約4年分と若干心許ない

事業内容 : C
中国の製造・営業拠点が多く地政学的リスクは高い。景気敏感度も高く欧米依存度も高めのため、今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトは大きい

配当水準


  • 配当利回り:4.2% (23年12月期予想)※執筆時点の株価ベース

日本株で高配当と言われる水準の3%を大きく上回っていますので文句なく合格点です。

  • 配当性向:53.5%(23年12月期予想)
  • 配当金(絶対額): 直近10年増加傾向(減配無し)

配当金は2013年以降10年間で90円から210円まで減配無く増加しています。

配当方針は配当性向ベース(40%目安)となります。

2021年に120円から210円に大幅に増配しています。この時の配当性向は81.2%から37.6%に下がっていますので、配当性向を上げたわけではなく、純粋に増益による増配となってます。好調の要因は塩化ビニル樹脂および苛性ソーダの販売価格の上昇が主因のようです。

2022年は一転して赤字になっていますが、これはディスプレイ、プリント基板材料等を中心とした会計上の減損によるもので、キャッシュアウトをともなう減益ではありません。

配当性向は23年予想で50%台と配当方針の40%に比べて高くなっており、また高騰した苛性ソーダ価格の今後の下落リスクも含めて減配リスクに注意が必要と考えます。

財務指標


  • 売上 : 横ばい傾向も、2021年から上昇

2013年から2020年まで約1.5兆円前後で横ばい傾向でしたが、前述の背景により2021年から増加しています。

  • 営業利益率:9.04%(22年12月期実績)

2013年から2020年までは約5~8%程度で推移していましたが、2021年に12.15%と大きく上昇し、2022年は9.04%に下がっています。

2023年は8.84%予想ですが、「ガラス・土石」業種では中位~上位の数値で、一般的にも良好な利益率でしょう。

  • 自己資本比率:49.4%(22年12月期実績)

40%を越えていますので、優秀とまでは言えませんが問題無いレベルです。今後金利が上昇した際に減益・減配のリスクはありますが、倒産するリスクは低いでしょう。

  • フリーキャッシュフロー:直近10年でマイナス3回
  • 現金資産:直近配当の約4年分(22年12月期実績)

ここ10年でフリーキャッシュフローがマイナスが3回ありますが、営業キャッシュフローは全てプラスになっています。現金は2022年時点で約2100億円の残高があり、これは直近配当実績の約4年分と若干心許ない金額です。

営業キャッシュフローはプラスを10年以上キープしていますが、現金残高が配当と比較すると少な目で今後景気悪化等で一時的に利益が減少した際の減配リスクには注意が必要です。

事業内容


  • 海外事業比率:69.8%
  • 地政学的リスクがある国・地域での事業:中国

事業内容としては、自動車や表示デバイス用のガラス/電子部材、化学素材の製造・販売となっております。

事業の36%が欧米向けのため今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトはそれなりにあると思われます。

ホームページに中国の製造・販売拠点が20か所近く記載されており、地政学的リスクはかなり高いと考えます。中国単体の販売比率はわかりませんが、日本を除く「アジア」地域では33.8%となっています。

  • 若年層依存度:なし

ガラス/電子部材、化学素材の販売が主な事業であり、若年層に偏ったビジネスではないため、今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。

  • 景気敏感性:高い

業種分類としては景気動向に敏感な「ガラス・土石製品」に該当し、ベータ値は執筆時点で「1.27」であり景気敏感性は高いと考えます。そのため、今後景気が悪化した場合の影響は大きいと想定します。

まとめ

「配当水準」は比較的良好ですが、直近予想の配当性向が高めで、配当方針も配当性向ベースのため減配リスクには注意が必要です。

「財務指標」はほぼ問題はありませんが、現金残高が直近配当に比べて若干心許ありません。

「事業内容」は中国の地政学リスクが高く、また景気敏感性や欧米比率も高めで、今後欧米の景気が悪化した際の減益・減配のリスクに注意が必要です。

財務良好で倒産リスクも小さいため基本的には安定した高配当が期待できますが、地政学的リスクや欧米景気悪化時の減配リスクが高く、慎重に検討した上での投資判断が必要でしょう。

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