決算サマリ
2023年7月5日にアドヴァングループ(7463)が2024年3月期1Q(4~6月)の決算を発表しました。ポイントは以下の通りです。
- 売上・営業利益は、会社通期予想の範囲内(計画通り進捗)
- 経常利益/純利益は、円安進行による為替予約評価益で大きく増加
- 通期計画・配当予想は変更無し
この結果を踏まえて、当サイトの判定は「A」(積極的に組み入れを検討)で変更ありません。引き続き高配当銘柄として安定した配当が期待できるでしょう。
以下、それぞれ細かく見ていきます。
売上・営業利益は会社通期予想の範囲内
売上・営業利益は、下記表のように通期の会社予想に対する進捗率は約25%となっています。
これにより、営業利益率も前年同期の19.8%から22.7%に増加しています。
2024年 通期予想 | 2024年1Q | 進捗率 | |
(百万円) | (百万円) | % | |
売上 | 21,000 | 5,251 | 25.0% |
営業利益 | 4,850 | 1,192 | 24.6% |
経常利益 | 5,250 | 6,222 | 118.5% |
純利益 | 3,400 | 3,872 | 113.9% |
過去4年間の1Q売上の通期に対する割合も、下記のように概ね25%前後となっており、今期もこの割合で推移すると考えると、概ね会社計画通りの進捗と考えて良いでしょう。
1Q | 2Q | 3Q | 通期 | ||
2020年3月期 | 売上 | 5,023 | 10,489 | 15,827 | 21,114 |
年間比率 | 23.8% | 49.7% | 75.0% | 100.0% | |
2021年3月期 | 売上 | 4,316 | 8,472 | 12,522 | 17,089 |
年間比率 | 25.3% | 49.6% | 73.3% | 100.0% | |
2022年3月期 | 売上 | 4,539 | 8,681 | 13,087 | 17,566 |
年間比率 | 25.8% | 49.4% | 74.5% | 100.0% | |
2023年3月期 | 売上 | 4,564 | 9,612 | 14,540 | 20,399 |
年間比率 | 22.4% | 47.1% | 71.3% | 100.0% | |
2024年3月期 | 売上 | 5,251 | – | – | 21,000※ |
年間比率 | 25.0% | – | – | 100.0% |
経常利益/純利益は大きく増加
経常利益/純利益は、下記表のように通期の会社予想に対する進捗率は100%を越えており、1Qだけで通期計画を達成してしまっている状況です。
2024年 通期予想 | 2024年1Q | 進捗率 | |
(百万円) | (百万円) | % | |
売上 | 21,000 | 5,251 | 25.0% |
営業利益 | 4,850 | 1,192 | 24.6% |
経常利益 | 5,250 | 6,222 | 118.5% |
純利益 | 3,400 | 3,872 | 113.9% |
この理由は、「第1四半期連結累計期間末の洗い替え処理による為替予約評価益として4,389百万円を計上」した結果としています。
為替予約とは将来のある時点で行う為替取引について、事前に為替レートと数量を予約する取引きのことです。
アドヴァングループは輸入企業ですので、輸入の支払いに使用するための外貨を日本円で購入するための為替予約をしていたと思われますが、現在の為替レートがこの予約レートより大幅に円安となったため大きな評価益を計上したと考えられます。
通期計画・配当予想は変更無し
経常利益/純利益は大幅に増加して1Qで年間計画を達成している状況ですが、会社としては通期計画・配当予想は変えていません。
これは、売上/営業利益は会社予想通りの進捗率であることと、経常利益/純利益は大幅増加したもののその主な理由は為替予約によるもので、今後の為替レートの推移によっては逆に評価損が発生する可能性もあり現時点では通期の業績への影響を判断できないためと思われます。
ただ、今後2Q以降の為替レートもこのまま円安基調であれば、どこかのタイミングで上方修正してくる可能性は十分あるでしょう。
まとめ
海外を中心にインフレが進行し円安も進む中、価格改定や為替予約といった対策を講じることで、引き続き20%台の高い営業利益率をキープしていることが1Qの結果からも確認できました。
今後も安定した高配当が期待できるとともに、今後の為替レートの推移にもよりますが業績・配当の上方修正も十分あり得るため、引き続き高配当投資の有力な候補銘柄と考えます。
より詳細な銘柄情報については、以下記事も併せて参照ください。
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