※本記事は2023年3月期決算発表時点の情報を元に作成してます
はじめに
結論
当サイト独断判定:B+(組み入れを検討したい)
配当水準 : A
利回り4%台(執筆時点)。過去10年増配傾向で減配なし。配当方針は配当性向ベース(40%)だが、累進配当政策を採用しており減配リスクは低い。
財務指標 : Aー
売上は概ね横這い傾向で直近で大幅増。銀行業のため自己資本比率は4%台と低いが、経常利益率は18%台と優秀でCET1比率も14%台で余裕あり。営業キャッシュフローは過去10年マイナス2回あるも現金資産は増加傾向。
事業内容 : B
大きくはないが中国事業の地政学的リスクあり、ロシア事業も追加減損リスクあり。米国事業が15%程度あり、景気敏感性も高いため今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトに注意。
配当水準
- 配当利回り:4.3% (24年3月期予想)※執筆時点の株価ベース
日本株で高配当と言われる水準の3%を大きく上回っていますので文句なく合格点です。
- 配当性向:40.6%(24年3月期予想)
- 配当金(絶対額): 直近10年増配傾向(減配なし)
配当金は2014年以降10年間で120円から240円まで増配傾向で減配もありません。
配当方針は配当性向ベース(40%)ですが、累進配当政策を採用しています。
直近の配当性向は無理の無い水準で、累進配当政策を採用しており過去減配の実績も無いため今後も減配せずに安定配当の維持を十分期待できるでしょう。
財務指標
- 売上 : 過去10年で横ばい傾向(一時減少後回復)
2014年から2020年までは4.5兆円前後で横ばい傾向でしたが、2021年に3兆円台に減少した後、2023年は6兆円台と元の水準以上に回復しています。
- 経常利益率:18.9%(23年3月期実績)
経常利益率は2017年以降は概ね20%前後で推移しています。
「銀行業」業種の中では上位であり、一般的にも優秀な利益率でしょう。
- 自己資本比率:4.7%(23年3月期実績)
- CET1比率:14.02%(23年3月期実績)
低い自己資本比率となっていますが、預金を債務に計上している銀行業種は低くなる傾向があります。貸し倒れ等のリスク資産に対する自己資本比率であるCET1比率は14%台と銀行業種の中で上位であり倒産リスクは低いでしょう。
- フリーキャッシュフロー:直近10年でマイナス1回
- 現金資産:過去10年増加傾向
ここ10年でフリーキャッシュフローのマイナスが1回、営業キャッシュフローのマイナスが2回ありますが、現金資産は過去10年増加傾向であり大きな問題はないでしょう。
現金資産は増加傾向であり、CET1比率も余裕がありますので景気悪化等で一時的に利益が減少した際も、しばらくは自己資本を取り崩して配当を維持することは可能でしょう。
事業内容
- 海外事業比率:36.2%
- 地政学的リスクがある国・地域での事業:中国(最大14.4%)、ロシア(不明)
主な事業内容は銀行やリース等の金融サービスの提供となっています。
地政学リスクとしては、ホームページにグループ会社として中国3社、ロシア1社の記載があります。
ロシアは2023年時点で、航空機リースは8割程度減損済みで保険申請済みですが、与信残高が26億ドルあります。今後の追加減損リスクには一定の注意が必要です。
中国の売上比率はわかりませんが、製造業ではないため生産拠点は無く、中国を含む「その他」地域の売上比率も14%程度でその中のさらに一部と考えると中国事業の地政学的リスクはそこまで大きくはないと考えます。
米国事業が15%程度あり、今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトにもある程度注意が必要です。
- 若年層依存度:なし
金融サービスの提供が主な事業で、若年層に偏ったビジネスではないため、今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。
- 景気敏感性:高い
ベータ値は執筆時点で「1.02」であり景気敏感性は高いです。そのため、今後欧米の景気が悪化した場合の影響には注意が必要です。
まとめ
「配当水準」と「財務指標」はどちらも大きな問題はなく、高配当株式投資に適した内容となっています。
「事業内容」に大きくはないですが中国の地政学的リスクとロシアの減損リスクがあります。また、米国事業がそこそこあり景気敏感性も高いため欧米景気悪化時のリスクに注意が必要です。
地政学的リスクと欧米景気悪化時の減益リスクに一定の注意が必要ですが、財務は良好で倒産リスクも小さく、基本的には安定した高配当が期待できるため高配当投資の一角として検討に値するでしょう。
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