電源開発(9513)

銘柄情報

当サイトに掲載されている投資に関する見解は、個人の主観・感想を元に作成したものであり、特定の銘柄・金融商品の勧誘や上昇・下降を予想/示唆するものでもありません。また、運用成果や投資収益を保証するものではありません。最終的な投資の意思決定はご自身の責任と判断でお願いします

※本記事は2023年3月期決算発表時点の情報を元に作成してます

はじめに

結論

当サイト独断判定A(前向きに組み入れを検討)

配当水準 : A
利回り4%台(執筆時点)で過去10年増配傾向。配当方針は配当性向ベース(30%)だが、短期の金額変動を抑える傾向があり、配当性向も20%台で余裕のある水準で減配リスクは低い

財務指標 : Aー
売上は10年以上右肩上がりに増加。営業利益率は9%台と業界平均以上も、自己資本比率は30%台で若干低め。営業キャッシュフローは過去10年プラスで現金資産はかなり余裕あり

事業内容 : B+
若年層に依存しないビジネスだが、中国の地政学的リスクが少なからず存在景気敏感性は低く欧米の事業比率も低いため、欧米の景気が悪くなった場合のインパクトは限定的

配当水準


  • 配当利回り:4.4% (24年3月期予想)※執筆時点の株価ベース

日本株で高配当と言われる水準の3%を大きく上回っていますので文句なく合格点です。

  • 配当性向:21.7%(24年3月期予想)
  • 配当金(絶対額): 過去10年で増加(減配なし)

配当金は過去10年で70円から90円と増加傾向減配もありません

配当方針は配当性向ベース(30%目安)となっております。しかし、2017年までは毎年70円で、その後2022年まで毎年75円で、その間の配当性向は、30%前後が多いものの15%~60%台と上下にかなり乖離している年も存在しています。

そのため、基本は減配も増配もせずに前年と同額をキープして短期の変動を抑えつつ、30%からの乖離が継続しそうな場合に金額を増減させる方針のように見えます。

配当性向は直近では20%台で余裕があり、短期の変動を抑える傾向があることから、今後も減配せずに安定した配当を維持することが期待されます。

財務指標


  • 売上 : 過去10年増加傾向(直近で大幅増)

2014年の約7068億円から2023年の約1兆8419億円まで基本的に右肩上がりに増加しています。

特に直近の2023年は大きく増加しています。これは資源価格上昇に伴う電力販売価格の上昇が主な要因になります。ただし、2024年は1兆5130億円と減少予想となっております。

  • 営業利益率:9.98%(23年3月期実績)

2014年からの10年間は8%台~12%台の間で推移していますが、直近5年は8%~9%台で安定しています。ただし2024年は7%台に低下予想となっております。

「電気・ガス業」業種の営業利益率は3%前後ですので、そこと比較しても一般的にも比較的良好な営業利益率でしょう。

  • 自己資本比率:32.3%(23年3月期実績)

30%台の若干低めの自己資本比率となっています。倒産とまではいかなくても、今後金利が上昇した際の減益・減配のリスクは大きく注意が必要です。

  • フリーキャッシュフロー:直近10年でマイナス5回
  • 現金資産:直近配当の約23年分(23年3月期実績)

ここ10年でフリーキャッシュフローはマイナスが5回ありますが、営業キャッシュフローは常にプラスとなっています。

現金は2023年時点で約3343億円の残高があり、これは直近配当実績の約23年分と非常に余裕がある金額です。景気悪化等で一時的に利益が減少した際も、現金資産を取り崩して配当を維持することが可能でしょう。

事業内容


  • 海外事業比率:17.3%
  • 地政学的リスクがある国・地域での事業:中国(3プロジェクト)

主な事業内容は、水力発電や火力発電等による電気の卸販売となっています。

中国での事業があり、決算資料等に3つの発電プロジェクトの記載があります。電力の持ち分出力比率では全体の約5%程度で、売上比率は単独での情報はありませんが、中国が含まれる「その他」地域での比率は4%程度となっています。

売上面での地政学的リスクはそこまで大きくないですが、中国に発電設備があることを考えると地政学的リスクはそこそこあると考えられます。

米国やイギリスでの事業もありますが、こちらも「その他」地域の4%の範囲内のため、今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトも低いと思われます。

  • 若年層依存度:なし

事業内容が水力発電や火力発電等による電気の卸販売となっており、特定の年齢層をターゲットとしたビジネスではないため、今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。

  • 景気敏感性:低い

ベータ値は執筆時点で「0.66」であり景気敏感性は低いと考えます。そのため、今後景気が悪化した場合の影響は抑えられるでしょう

まとめ

「配当水準」は高配当株式投資に適した内容となっています。

「財務指標」はほぼ問題はありませんが、自己資本比率が若干低めです。

「事業内容」は中国の地政学的リスクに若干注意が必要ですが、景気敏感性が低く欧米の事業比率も低いため、欧米の景気悪化時の影響は抑制されるでしょう。

地政学的リスクに若干注意が必要ですが、他に大きな問題はなくよほどのことがない限り今後も安定した高配当を維持することが期待できるでしょう。

これから国内高配当株投資を始める方へ

高配当株式投資は、財務体質がしっかりした安定配当が期待できる企業への分散投資が重要です。分散を十分に効かせるためには最低でも数十社に分散させることが望ましいです。

そこで問題になってくるのが、「単元株数」です。

株式は、各銘柄ごとに100株/口等の売買の最低限の単元株数が決まっています。そのため、1回取引するたびに、最低でもこの単元株数分の株式を購入する必要があります。例えば、1株1000円で単元株数が100の株式であれば、1回の取引で最低でも1000円x100=10万円分購入する必要があります。

そのため、分散のため数十社分の株式を購入するとなると、1回で最低でも数百万円ぐらい必要になってきます。これでは、資産がまだそれほど多くない場合は心理的に購入を躊躇してしまいますし、時間を分散して何回かに分けて投資することも難しいでしょう。

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