※本記事は2023年3月期決算発表時点の情報を元に作成してます
はじめに
結論
当サイト独断判定:B+(組み入れを検討したい)
配当水準 : Aー
利回り4%台(執筆時点)で過去10年連続増配中。配当性向は直近予想60%台で高めだが、配当方針がDOEベース(3.5~4%)で最低金額も直近配当水準であり減配リスクは低い。
財務指標 : B+
売上は過去10年で上昇も直近は減収予想、営業利益率は直近7%予想で業界平均以上で、自己資本比率も50%台と良好。営業キャッシュフローは過去10年プラスで現金資産はそこそこあり。
事業内容 : B
若年層依存度は低い。規模は最大でも1割程度ながら中国事業があり地政学的リスクに注意。米国事業が2割程度あり景気敏感性も高いため、今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトに注意。
配当水準
- 配当利回り:4.5% (24年3月期予想)※執筆時点の株価ベース
日本株で高配当と言われる水準の3%を大きく上回っていますので文句なく合格点です。
- 配当性向:64.7%(24年3月期予想)
- 配当金(絶対額): 直近10年連続増配(減配無し)
配当金は2014年以降10年間で24円から100円まで連続増配中です。特に最近の2021年⇒2022年では48円⇒97円に大幅アップとなっております。これは、海上運賃の高騰による海運事業と国際一貫輸送の増収と、代替需要としての航空貨物の増収が主な要因です。
配当方針は、これまでは金額ベース(47円を最低として増配継続)でしたが、2024年からは、100円を下限としたDOE(連結株主資本配当率)ベース(3.5~4%)に変更してます。
配当性向は60%台で高めですが、配当方針がDOEベースで最低金額も直近配当の水準となっており、今後も減配せずに安定配当の維持を十分期待できるでしょう。
財務指標
- 売上 : 過去10年上昇傾向
2014年からの10年間で、約1649億円から約2239億円と基本的に右肩上がりに増加しています。最近の2022年、2023年は海上運賃の高騰により大きく上昇しましたが、運賃の下落と海運事業の譲渡で2024年は2000億円まで減収予想となっています。
- 営業利益率:11.65%(23年3月期実績)
2014年から2021年までは概ね5%前後で推移していましたが、海上運賃の高騰により2022年から11%台に大きく上昇してます。
運賃の下落により2024年は7%台まで下がる予想となっておりますが、それでも「倉庫・運輸関連」業の平均が6%弱程度ですので業界平均からするとまだ比較的良好な数値でしょう。
- 自己資本比率:56.3%(23年3月期実績)
50%を越えた比較的良好な自己資本比率となっており、今後金利が上昇しても、それによる倒産や減益・減配のリスクは低いでしょう。
- フリーキャッシュフロー:直近10年でマイナス3回
- 現金資産:直近配当の約5年分(23年3月期実績)
ここ10年でフリーキャッシュフローがマイナスが3回ありますが、営業キャッシュフローは全てプラスになっています。現金は2023年時点で約465億円の残高があり、これは直近配当実績の約5年分と十分ではありませんがそこそこの金額となっております。
営業キャッシュフローはプラスを10年以上キープしており現金残高もそこそこあるため景気悪化等で一時的に利益が減少した際も、しばらくは現金資産を取り崩して配当を維持することは可能でしょう。
事業内容
- 海外事業比率:29.5%
- 地政学的リスクがある国・地域での事業:中国
事業内容としては、倉庫と物流サービスの提供となっております。
中国については、香港含めたグループ企業7社の記載がホームページにあり、地政学的リスクはそれなりにあると考えます。ただ、中国を含む「その他」地域の売上は約10%弱であり、最大でも地政学的リスクはその範囲に留まると考えます。
それ以外では、北米での事業が20%程度とそこそこの規模があるため、今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトはそれなりにあると思われます。
- 若年層依存度:なし
倉庫と物流サービスの提供が主な事業であり、若年層に偏ったビジネスではないため、今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。
- 景気敏感性:高い
ベータ値は執筆時点で「0.99」であり景気敏感性は高いと考えます。そのため、今後景気が悪化した場合の影響は大きいと想定します。
まとめ
「配当水準」は良好で「財務指標」も大きな問題はありません。
「事業内容」で中国の地政学的リスクが若干あり。また北米事業も2割程度あり景気敏感性も高いため、欧米の景気が悪化した際の減益・減配のリスクに注意が必要です。
欧米景気悪化時の減配リスクには一定の注意が必要ですが、財務良好で倒産リスクも小さいため、基本的には安定した高配当が期待できるため高配当投資の一角として検討に値するでしょう。
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