※本記事は2023年3月期決算発表時点の情報を元に作成してます
はじめに
結論
当サイト独断判定:Bー(慎重に組み入れを検討)
配当水準 :B
利回り5%台(執筆時点)。過去10年増配傾向で減配2回あり。配当方針は配当性向ベース(30%)で、直近配当性向は30%台で余裕あるも、過去大幅減配の実績があり直近も減配予想のため減配リスクに注意が必要。
財務指標 : B
売上は過去10年横這い傾向も直近数年で大きく上昇。営業利益率は直近11%台と高いが24年は7%程度に低下予想。自己資本比率は40%台と比較的良好で、キャッシュフローは過去10年プラスも現金資産は直近配当の約4年分と若干心許ない。
事業内容 : C
若年層依存度は低いが、中国事業があり製造拠点も多く存在するため地政学リスクが高い。景気敏感性が高く欧米事業も存在するが事業比率は最大でも17%程度であり、今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトは限定的。
配当水準
- 配当利回り:5.0% (24年3月期予想)※執筆時点の株価ベース
日本株で高配当と言われる水準の3%を大きく上回っていますので文句なく合格点です。
- 配当性向:34.8%(24年3月期予想)
- 配当金(絶対額): 直近10年増加傾向(減配2回)
配当金は2014年の50円から2023年の180円まで増加傾向ですが、16年/20年に2回減配しています。
特に20年は80円⇒10円に大幅に減配しています。その後、2022年/2023年で180円まで大幅に増配してますが、2024年は140円と再び減配の予想となっております。
配当方針は配当性向ベース(30%程度)となっております。
配当性向は無理の無い水準ですが、配当方針が配当性向ベースで、過去大幅減配の実績があり直近も減配予想となっているため、今後も減配リスクには注意が必要です。
財務指標
- 売上 : 過去10年横這い傾向(直近で大幅に増加)
2021年までは5兆円前後で概ね横這い傾向でしたが、直近は2022年に約6.8兆円 2023年に約8兆円と大きく上昇しています。2024年も9兆円に増加する予想となっております。
- 営業利益率:11.08%(23年3月期実績)
2019年までは2~6%前後でしたが、20年/21年の赤字を経て22年に12%台に上昇、23年も11%台となっております。
「鉄鋼」業種の平均となる6%前後と比較しても、一般的にも優秀な営業利益率でしょう。ただし2024年は7%程度に低下予想となっており、今後の推移には注意が必要です。
- 自己資本比率:43.7%(23年3月期実績)
40%を越えていますので、優秀とまでは言えませんが問題無いレベルです。今後金利が上昇した際は減益・減配のリスクはありますが、倒産するリスクは低いでしょう。
- フリーキャッシュフロー:直近10年プラス
- 現金資産:直近配当の約4年分(23年3月期実績)
ここ10年でフリーキャッシュフロー、営業キャッシュフローともに常にプラスをキープしています。
現金は2023年時点で約6704億円の残高があり、これは直近配当実績の約4年分と若干心許ない金額です。
キャッシュフローはプラスを10年以上キープしていますが、現金残高が配当と比較すると少な目で今後景気悪化等で一時的に利益が減少した際の減配リスクには注意が必要です。
事業内容
- 海外事業比率:39.8%
- 地政学的リスクがある国・地域での事業:中国
鋼板、鋼管などの製鉄が主な事業内容となっています。
アジアの事業比率は23%程度となっており、その中での比率はわかりませんが中国事業が存在します。また、ホームページに中国の拠点が10か所程度記載されており、その多くが製造拠点となっているため地政学的リスクは高いと考えます。
欧米を含む「その他」地域の売上比率は17%程度で、今後欧米の景気が悪くなった場合のリスクはあるもののインパクトは限定的と思われます。
- 若年層依存度:なし
鋼板、鋼管などの製鉄が主な事業内容であり、若年層に偏ったビジネスではないため、今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。
- 景気敏感性:高い
業種分類としては景気動向に敏感な「鉄鋼」に該当し、ベータ値は執筆時点で「1.72」であり景気敏感性は高いと考えます。
ただ、欧米事業比率はそこまで高くはないため今後欧米の景気が悪化した場合の影響は限定的と想定します。
まとめ
「配当水準」は方針が配当性向ベースで、過去大幅減配実績があり24年も減配予想のため、今後も減配リスクに注意が必要です。
「財務指標」は大きな問題はありませんが現金残高が若干心許ありません。
「事業内容」は中国事業があり、製造拠点も多いため地政学的リスクが高く注意が必要です。
基本的には財務は比較的良好で倒産リスクも小さいため安定した高配当が期待できますが、減配リスク・地政学的リスクが高いため、慎重に検討した上での投資判断が必要でしょう。
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