※本記事は2023年3月期決算発表時点の情報を元に作成してます
はじめに
結論
当サイト独断判定:B+(組み入れを検討したい)
配当水準 : Aー
利回り4%台(執筆時点)で過去10年増配傾向で減配無し。配当方針は配当性向ベース(50%)だが、直近配当性向は40%台で無理の無い水準であり、過去10年減配が無いことを考慮すると大きな減配のリスクは低い。
財務指標 : A
売上は過去10年増加傾向で営業利益率も14%台と優秀。自己資本比率も60%台と高く、営業キャッシュフローは過去10年プラスで現金資産も余裕がある状況。
事業内容 : B
若年層依存度は低い。中国事業(最大3%程度)と中国グループ会社が存在するため一定の地政学的リスクあり。景気敏感性が高いが欧米事業は6%程度と考えられるため、今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトは限定的。
配当水準
- 配当利回り:4.7% (24年3月期予想)※執筆時点の株価ベース
日本株で高配当と言われる水準の3%を大きく上回っていますので文句なく合格点です。
- 配当性向:48.3%(24年3月期予想)
- 配当金(絶対額): 過去10年増加傾向(減配無し)
配当金は過去10年で40円から140円と減配せずに増加しています。
配当方針は配当性向ベース(50%目途)となっています。
配当方針が配当性向ベースのため今後の減益時の減配リスクには一定の注意が必要ですが、直近の配当性向が40%台で無理の無い水準であることと過去10年減配していないことを考慮すると、今後も大きな減配はせずに安定した配当を十分期待できるでしょう。
財務指標
- 売上 : 過去10年緩やかに増加(一時減少し回復)
2014年の約351億円から2023年の約429億円まで増加傾向となっています。2021年に売上が落ち込みましたが、2023年までに以前の水準に回復しています。
- 営業利益率:14.01%(23年3月期実績)
2014年の7.99%から2023年の14.01%まで基本的に右肩上がりで上昇しています。
「情報・通信」業種の平均である8%前後と比較しても、一般的にも優秀な営業利益率でしょう。
- 自己資本比率:61.2%(23年3月期実績)
60%台の高い自己資本比率となっており、今後金利が上昇しても、それによる倒産や減益・減配のリスクは低いでしょう。
- フリーキャッシュフロー:直近10年でマイナス2回
- 現金資産:直近配当の約8年分(23年3月期実績)
ここ10年でフリーキャッシュフローはマイナスが2回ありますが、営業キャッシュフローは常にプラスとなっています。
現金は2023年時点で約136億円の残高があり、これは直近配当実績の約8年分と余裕がある金額です。景気悪化等で一時的に利益が減少した際も、現金資産を取り崩して配当を維持することが可能でしょう。
事業内容
- 海外事業比率:9%程度
- 地政学的リスクがある国・地域での事業:中国
事業内容は製造業や金融業を中心としたシステム開発、運用・構築、および各種ハードウェア・ソフトウェアの販売となっています。
ホームページにはグループ企業として中国にオフショア開発、製品・サービス販売のための企業が1社記載されており、一定の地政学的リスクはあると考えます。
海外事業比率については明確な記載が見つけられませんでしたが、決算説明資料で子会社別の売上資料があり、そこから、ざっくり欧米は約6%、その他海外で3%の合計9%程度かと推測します。
中国グループ会社の地政学的リスクがありますが、海外の事業比率が低いと考えられるため、地政学的リスクや、今後の欧米景気悪化によるリスクは限定的でしょう。
- 若年層依存度:なし
事業内容は製造業や金融業を中心としたシステム開発等であり、特定の年齢層をターゲットとしたビジネスではないため、今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。
- 景気敏感性:高い
顧客の景気敏感性に左右される業態ですが、ベータ値は執筆時点で「0.87」であり景気敏感性は高いと考えます。ただし、欧米での事業比率が限定的のため、今後欧米の景気が悪化した場合の影響は限定的と想定します。
まとめ
「配当水準」と「財務指標」は問題はありません。
「事業内容」に一定の地政学的リスクがあります。景気敏感性は高いですが海外事業比率が低いと思われるため欧米の景気が悪化した際の減益・減配のリスクは限定的でしょう。
一定の地政学的リスクはありますが、財務良好で倒産リスクも小さいため、基本的には安定した高配当が期待できるため高配当株投資の一角として検討に値するでしょう。
これから国内高配当株投資を始める方へ
高配当株式投資は、財務体質がしっかりした安定配当が期待できる企業への分散投資が重要です。分散を十分に効かせるためには最低でも数十社に分散させることが望ましいです。
そこで問題になってくるのが、「単元株数」です。
株式は、各銘柄ごとに100株/口等の売買の最低限の単元株数が決まっています。そのため、1回取引するたびに、最低でもこの単元株数分の株式を購入する必要があります。例えば、1株1000円で単元株数が100の株式であれば、1回の取引で最低でも1000円x100=10万円分購入する必要があります。
そのため、分散のため数十社分の株式を購入するとなると、1回で最低でも数百万円ぐらい必要になってきます。これでは、資産がまだそれほど多くない場合は心理的に購入を躊躇してしまいますし、時間を分散して何回かに分けて投資することも難しいでしょう。
そこで、おすすめなのがこの単元株数に満たなくても1株から購入できる単元未満株取引です。執筆時点でこの単元未満株取引に対応している国内ネット証券は「SBI証券」、「マネックス証券」、「楽天証券」、「auカブコム証券」の4社になります。
なかでも「SBI証券」、「マネックス証券」は買付時の手数料/スプレッドが「無料」のため特におすすめです。※売却時は一定の手数料が発生します