※本記事は2023年3月期決算発表時点の情報を元に作成してます
はじめに
結論
当サイト独断判定:Aー(前向きに組み入れを検討)
配当水準 : B+
利回り5%台(執筆時点)で過去10年増配傾向だが直近で減配。配当方針が配当性向ベース(50%)で多少の減配を許容する傾向があるため、減配リスクには一定の注意が必要だが、直近配当性向は40%台で無理の無い水準で財務状況も考慮すると大きな減配のリスクは低い。
財務指標 : A-
ここ数年売上は横ばい傾向。営業利益率は14%台と高く、自己資本比率は60%台で優秀。キャッシュフローが若干不安定も現金資産は十分余裕あり。
事業内容 : A
地政学的リスクと若年層への依存度は無し。景気敏感性は高いが海外事業が無いため海外景気の悪化によるリスクは低い。
配当水準
- 配当利回り:5.0% (24年3月期予想)※執筆時点の株価ベース
日本株で高配当と言われる水準の3%を大きく上回っていますので文句なく合格点です。
- 配当性向:43.9%(24年3月期予想)
- 配当金(絶対額): 過去10年以上増加傾向(減配1回)
配当金は過去10年で16.67円から63円まで増加傾向ですが、直近の2023年に55円に減配しています。
これは、配当方針が配当性向ベース(50%)となっており、期初の業績見込み時点で配当性向60%となる金額で設定したためです。結果的に業績を上方修正したため最終的には配当金額も増やしましたが、それでも配当性向46.6%となる金額までの増加に留めました。
ここから、大幅な減配を回避するためには配当性向60%程度まで上げて対応する一方、多少の減配であれば許容し配当方針の50%ベースを優先するという考え方が見て取れます。
そのため、今後の減益時の減配リスクには一定の注意が必要ですが、直近の配当性向が40%台で無理の無い水準であることと、後述の「財務指標」も考慮すると、今後も大きな減配はせずに安定した配当を十分期待できるでしょう。
財務指標
- 売上 : 過去10年で増加傾向(近年は横這い)
2014年の約358億円から2019年の約456億円まで増加傾向でしたが、2020年以降は横ばい傾向となっています。
- 営業利益率:14.34%(23年3月期実績)
2014年の10.5%から2023年の14.34%まで上昇傾向にあります。「卸売業」業種の中でも上位であり、一般的にも優秀な営業利益率と考えます。
- 自己資本比率:62.8%(23年3月期実績)
60%を越えた高い自己資本比率となっており、今後金利が上昇しても、それによる倒産や減益・減配のリスクは低いでしょう。
- フリーキャッシュフロー:直近10年でマイナス2回
- 現金資産:直近配当の約10年分(23年3月期実績)
ここ10年でフリーキャッシュフロー、営業キャッシュフローともにマイナスが2回あります。現金は2023年時点で約171億円の残高があり、これは直近配当実績の約10年分と余裕がある金額です。
キャッシュフローが若干不安定なため今後の現金残高の推移にある程度の注意が必要ですが、現時点では十分な現金残高があるため、景気悪化等で一時的に利益が減少した際も、現金資産を取り崩して配当を維持することが可能でしょう。
事業内容
- 海外事業比率:情報なし
- 地政学的リスクがある国・地域での事業:情報なし
主な事業内容は、中小企業向けの電力小売りや光回線、オフィス機器等の販売・保守となっています。
決算資料等で海外での事業についての記述は見つけられず、ホームページにも海外事業や拠点の情報が無いため海外事業はほぼ無いと考えて良いでしょう。そのため、地政学的リスクは無く、今後海外の景気が悪くなった場合のインパクトの幅も小さいと思われます。
- 若年層依存度:なし
事業内容が中小企業向けの機器・サービスの販売・保守となっており、特定の年齢層をターゲットとしたビジネスではないため、今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。
- 景気敏感性:高い
ベータ値は執筆時点で「1.18」であり景気敏感性は高いですが、海外事業がほぼ無いため今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトは低いでしょう。
まとめ
「配当水準」は配当方針が配当性向ベースで多少の減配は許容する傾向もあるため、減配リスクが若干あります。
「財務指標」はキャッシュフローが若干安定していない点は注意が必要ですが、他は全く問題ありません。
「事業内容」は景気敏感性が高いですが、国内中心のビジネスのため大きな問題は無いでしょう。
今後の減益時の減配リスクに若干注意が必要ですが、よほどのことがない限り今後も安定した高配当を維持することが期待できるでしょう。
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