※本記事は2023年12月期1Q決算発表時点の情報を元に作成してます
はじめに
結論
当サイト独断判定:B(組み入れを検討しても良い)
配当水準 : B+
利回り4%台(執筆時点)で過去9年は全体として増配傾向も減配2回あり。配当性向は40%台で無理の無い水準。ただし、方針が配当性向ベースのため減益時の減配には注意が必要。
財務指標 : A-
売上は9年間で一時減少も増加傾向。営業利益率は12%台と高く、自己資本比率も60%台で優秀。営業キャッシュフローは過去10年プラスで現金資産は余裕あり。
事業内容 : Bー
中国に製造拠点が存在するが工場は中国以外にも多くあり生産の地政学的リスクは比較的抑えられると想定。若年層に依存しないビジネスで、景気敏感性は高いが海外事業比率が低いため欧米景気悪化時の影響は限定的。
配当水準
- 配当利回り:4.9% (23年12月期予想)※執筆時点の株価ベース
日本株で高配当と言われる水準の3%を大きく上回っていますので文句なく合格点です。
- 配当性向:44.8%(23年12月期予想)
- 配当金(絶対額): 過去9年増加傾向(減配2回)
配当金は過去9年で18円から54円と途中2回の減配もありながらも増加傾向です。
また、配当方針は配当性向ベース(40%以上)になってます。ただし、2020年に下方修正した際に、配当性向が当初予想の40%台から60%台になっても期初の配当予想を変えておらず、期中での減配は極力避ける会社の方針が伺えます。
配当性向は40%台で無理の無いレベルですが、配当方針が配当性向ベースのため今後減益となった場合の減配リスクには一定の注意が必要です。
財務指標
- 売上 : 過去9年増加傾向(一時減少)
2014年以降で92億円から221億円まで増加していますが、2019年と2020年に一時的に減少し、その後に元の水準以上に増加しています。
- 営業利益率:12.41%(22年12月期実績)
過去6年は12~13%程度(ただし、2020年は10%台)の営業利益率となっています。「金属製品」業種の中でも上位になりますので優秀な営業利益率と考えます。
- 自己資本比率:67.4%(22年12月期実績)
60%台の高い自己資本比率となっており、今後金利が上昇しても、それによる倒産や減益・減配のリスクは低いでしょう。
- フリーキャッシュフロー:直近6年でマイナスは2回
- 現金資産:直近配当の約8年分(22年12月期実績)
ここ6年でフリーキャッシュフローはマイナスが2回ありますが、営業キャッシュフローは毎年プラスとなっています。
現金は2022年時点で約62億円の残高があり、これは直近配当実績の約8年分と余裕がある金額です。景気悪化等で一時的に利益が減少した際も、現金資産を取り崩して配当を維持することが可能でしょう。
事業内容
- 海外事業比率:情報なし
- 地政学的リスクがある国・地域での事業:中国(製造拠点)
事業内容は、ガス配管/配水管等の継手・ホースや消防設備/給水管等の製造・販売となっています。
決算資料では海外での具体的な売上比率についての記述はありませんが、中国・ベトナム市場への言及が若干あります。実際の販売規模はわかりませんが、決算資料での言及がほぼ無いことを考えると海外の売上は少ないと想定します。
地政学的リスクとしては、ホームページによると中国(2か所)とベトナム(1か所)に工場があるようです。製造拠点は国内にも9か所程度あるため生産の地政学的リスクは比較的抑えられるでしょう。
- 若年層依存度:なし
事業内容が配管や消防設備の製造・販売となっており、特定の年齢層をターゲットとしたビジネスではないため、今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。
- 景気敏感性:高い
業種分類としては景気動向に敏感な「金属製品」に該当し、ベータ値も執筆時点で「0.92」であり景気敏感性は高いと考えますが、海外事業比率が低いと考えられるため、欧米景気悪化時の影響は限定的でしょう。
まとめ
「配当水準」は比較的良好ですが、過去減配実績があり配当方針が配当性向ベースのため減益した際は基本的に減配となる点は注意が必要です。
「財務指標」は問題はありませんが、「事業内容」では中国生産の地政学リスクに若干注意が必要です。
地政学的リスクと減配リスクには一定の注意が必要ですが、財務良好で倒産リスクも小さく基本的には安定した高配当が期待できるため高配当投資の一角として検討しても良いでしょう。
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