※本記事は2023年12月期1Q決算発表時点の情報を元に作成してます
はじめに
結論
当サイト独断判定:Bー(慎重に組み入れを検討)
配当水準 : B
利回り3%台(執筆時点)で2020年に大幅減配も回復傾向。配当性向は直近予想40%台で無理のない水準だが、配当方針が配当性向ベース(50%程度)で海外比率も高く、海外景気悪化時の減配リスクに注意。
財務指標 : B
売上は過去10年で横ばい傾向、営業利益率は8%台で業界平均以上で、自己資本比率も60%台と優秀。営業キャッシュフローは過去10年プラスも、現金資産は直近配当の約3年分と若干心許ない。
事業内容 : C
国内回帰方針だが中国での生産に地政学的リスクあり。欧米依存度が大きく景気敏感性も高いため、今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトは大きい。
配当水準
- 配当利回り:3.7% (23年12月期予想)※執筆時点の株価ベース
若干物足りないですが、日本株で高配当と言われる水準の3%は上回っていますので合格点です。
- 配当性向:42.8%(23年12月期予想)
- 配当金(絶対額): 増加傾向(減配1回)
配当金は2013年~2019年は130円から160円に減配無く緩やかに増加していましたが、2020年に80円に大幅減配し、その後2022年までに120円まで回復しています。
配当方針は配当性向ベース(50%程度)であり配当性向はそれほど大きくはありませんが、後述の財務指標で現金資産が若干心許ないため、今後の景気悪化等による減配リスクには注意が必要です。
財務指標
- 売上 : 過去10年横ばい傾向
2013年からの10年間で、約4兆円前後で横ばい傾向です。2020年は3兆円前半まで大きく減少しましたが回復してきています。
- 営業利益率:8.77%(22年12月期実績)
2013年から概ね8%~9%前後で推移していますが、2019年と2020年は4%前後に大きく減少しその後2022年までに8.77%に回復しています。
製造業の平均が5%前後と言われていますので業界平均からすると比較的良好な数値でしょう。
- 自己資本比率:61.1%(22年12月期実績)
60%を越えた高い自己資本比率となっています。有利子負債も少なく今後金利が上昇しても、それによる倒産や減益・減配のリスクは低いでしょう。
- フリーキャッシュフロー:直近10年でマイナス1回
- 現金資産:直近配当の約3年分(22年12月期実績)
ここ10年でフリーキャッシュフローは2016年のみマイナスですが、営業キャッシュフローは全てプラスになっています。
現金は2022年時点で約3621億円の残高があり、これは直近配当実績の約3年分と若干心許ない金額です。
営業キャッシュフローはプラスを10年以上キープしていますが、現金残高が配当と比較すると少な目で今後景気悪化等で一時的に利益が減少した際の減配リスクには注意が必要です。
事業内容
- 海外事業比率:78.6%
- 地政学的リスクがある国・地域での事業:中国
事業内容としてはカメラ・プリンタ・複合機等の製造・販売で、CTI/MR等の医療機器も手掛けています。海外事業比率は8割程度あり海外依存度は高めです。
中国を含む「アジア・オセアニア」地域の販売比率は21.8%となっており、ホームページによると中国に子会社が9社(製造会社:5社、研究開発:2社、販売会社:2社)あるため、地政学的リスクは高めでしょう。
ただ、近年は国内での生産比率を増やす方針とのことで、今後徐々に地政学リスクは減少していくと思われます。
欧米市場の販売比率も6割弱と依存度が大きいため今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトは大きいと思われます。
- 若年層依存度:なし
カメラ・プリンタ・複合機等の製造・販売が主な事業であり、若年層に偏ったビジネスではないため、今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。
- 景気敏感性:高い
業種分類としては景気動向に比較的敏感な「電気機器」に該当し、ベータ値は執筆時点で「0.84」であり景気敏感性はそこそこ高いと考えます。そのため、今後景気が悪化した場合の影響は大きいと想定します。
まとめ
「配当水準」は比較的良好ですが、配当方針が配当性向ベースで過去減配実績もあるため、減配リスクに注意が必要です。
「財務指標」も大きな問題はありませんが、現金残高が直近配当に比べて若干心許ありません。
「事業内容」は一定の地政学リスクがあります。また海外依存度が大きく、今後欧米の景気が悪化した際の減益・減配のリスクに注意が必要です。
財務は比較的良好で倒産リスクも小さいため、基本的には安定した高配当が期待できますが、減配や地政学的リスクもそれなりにあるため、慎重に検討した上での投資判断が必要でしょう。
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