決算サマリ
2023年8月9日に蔵王産業(9986)が2024年3月期1Q(4~6月)の決算を発表しました。ポイントは以下の通りです。
- 売上は、会社通期予想の範囲内(計画通り進捗)
- 利益は、会社通期予想を大きく下回るペースで進捗
- 通期計画・配当予想は変更無し
この結果を踏まえて、当サイトの判定は「Aー」(前向きに組み入れを検討)で変更ありません。引き続き高配当銘柄として安定した配当が期待できるでしょう。
以下、それぞれ細かく見ていきます。
売上は会社通期予想の範囲内
売上は、下記表のように通期の会社予想に対する進捗率は約21%となっています。
2024年 通期予想 | 2024年1Q | 進捗率 | |
(百万円) | (百万円) | % | |
売上 | 9,150 | 1,894 | 20.7% |
営業利益 | 1,367 | 147 | 10.8% |
経常利益 | 1,381 | 149 | 10.8% |
純利益 | 1,035 | 97 | 9.4% |
過去4年間の1Q売上の通期に対する割合は、下記のように22%程度となっており、本1Qは若干低めではありますが概ね同水準であり、今期もこの割合で推移すると考えると概ね会社計画通りの進捗と考えて良いでしょう。
1Q | 2Q | 3Q | 通期 | ||
2020年3月期 | 売上 | 1,617 | 3,341 | 5,198 | 7,079 |
年間比率 | 22.8% | 47.2% | 73.4% | 100.0% | |
2021年3月期 | 売上 | 1,387 | 3,183 | 5,120 | 7,075 |
年間比率 | 19.6% | 45.0% | 72.4% | 100.0% | |
2022年3月期 | 売上 | 1,948 | 4,101 | 6,478 | 8,949 |
年間比率 | 21.8% | 45.8% | 72.4% | 100.0% | |
2023年3月期 | 売上 | 2,239 | 4,375 | 7,179 | 9,647 |
年間比率 | 23.2% | 45.4% | 74.4% | 100.0% | |
2024年3月期 | 売上 | 1,894 | – | – | 9,150※ |
年間比率 | 20.7% | – | – | 100.0% |
利益は会社通期予想を大きく下回るペースで進捗
各利益は、下記表のように通期の会社予想に対する進捗率は約10%となっています。
2024年 通期予想 | 2024年1Q | 進捗率 | |
(百万円) | (百万円) | % | |
売上 | 9,150 | 1,894 | 20.7% |
営業利益 | 1,367 | 147 | 10.8% |
経常利益 | 1,381 | 149 | 10.8% |
純利益 | 1,035 | 97 | 9.4% |
過去4年間の1Q営業利益の通期に対する割合は、下記のようにばらつきがありますが、今期の約11%という進捗率は過去4年と比較するとコロナ禍の2021年よりも低い数値であり、会社計画を大きく下回るペースと思われます。
1Q | 2Q | 3Q | 通期 | ||
2020年3月期 | 営業利益 | 209 | 474 | 691 | 1,020 |
年間比率 | 20.5% | 46.5% | 67.7% | 100.0% | |
2021年3月期 | 営業利益 | 114 | 395 | 689 | 1,000 |
年間比率 | 11.4% | 39.5% | 68.9% | 100.0% | |
2022年3月期 | 営業利益 | 236 | 560 | 908 | 1,286 |
年間比率 | 18.4% | 43.5% | 70.6% | 100.0% | |
2023年3月期 | 営業利益 | 323 | 606 | 1,030 | 1,378 |
年間比率 | 23.4% | 44.0% | 74.7% | 100.0% | |
2024年3月期 | 営業利益 | 147 | – | – | 1,367※ |
年間比率 | 10.8% | – | – | 100.0% |
営業利益率をみても、下記のように過去4年間で最も低かったコロナ禍の2021年よりも低い水準となっていることがわかります。
1Q | 2Q | 3Q | 通期 | ||
2020年3月期 | 営業利益率 | 12.9% | 14.2% | 13.3% | 14.4% |
2021年3月期 | 営業利益率 | 8.2% | 12.4% | 13.5% | 14.1% |
2022年3月期 | 営業利益率 | 12.1% | 13.7% | 14.0% | 14.4% |
2023年3月期 | 営業利益率 | 14.4% | 13.9% | 14.3% | 14.3% |
2024年3月期 | 営業利益率 | 7.8% | – | – | 14.9% |
この理由は、売上が前年同期比で15%程度低下している一方、逆に販管費が前年同期比で6%程度上昇していることが原因です。(原価率は昨年同期から大きな変化はありませんので、材料費等の製造・調達コストの上昇の影響はなさそうです)
2023年3月期本決算の説明会で、基幹システム刷新の減価償却費、電気代・ガソリン代の上昇、4月からの賃金ベースアップといった要因で販管費が上昇するという発言があったようですので、この辺の影響が想定以上に出ているのかもしれません。
会社計画では、営業利益率は前年同等水準以上となっているため、通期計画の達成のためには2Q以降で売上を計画以上に伸ばすか、販管費を削減する必要がありそうです。
いずれにしても2Q以降の結果を確認する必要があるでしょう。
通期計画・配当予想は変更無し
以上のように、利益は計画を大きく下回る進捗率となっていますが通期計画・配当予想は変えていません。
これは、まだ1Qであり通期への影響を判断するのは現時点で難しいのと、2Q以降に挽回できる可能性がまだあると考えているからと思われます。
まとめ
1Q時点で、売上は概ね会社計画通りで進捗していますが、営業利益は会社計画を大きく下回るペースで進捗している結果となりました。
利益率の減少については2Q以降もこの水準が続くのか注視する必要があるでしょう。
ただ、仮に通期計画を達成できなかったとしても配当方針が2023年から金額固定(100円)となっており、減配となるリスクはかなり低いと考えますので高配当株投資に適した銘柄であることに変わりはないでしょう。
より詳細な銘柄情報については、以下記事も併せて参照ください。
これから国内高配当株投資を始める方へ
高配当株式投資は、財務体質がしっかりした安定配当が期待できる企業への分散投資が重要です。分散を十分に効かせるためには最低でも数十社に分散させることが望ましいです。
そこで問題になってくるのが、「単元株数」です。
株式は、各銘柄ごとに100株/口等の売買の最低限の単元株数が決まっています。そのため、1回取引するたびに、最低でもこの単元株数分の株式を購入する必要があります。例えば、1株1000円で単元株数が100の株式であれば、1回の取引で最低でも1000円x100=10万円分購入する必要があります。
そのため、分散のため数十社分の株式を購入するとなると、1回で最低でも数百万円ぐらい必要になってきます。これでは、資産がまだそれほど多くない場合は心理的に購入を躊躇してしまいますし、時間を分散して何回かに分けて投資することも難しいでしょう。
そこで、おすすめなのがこの単元株数に満たなくても1株から購入できる単元未満株取引です。執筆時点でこの単元未満株取引に対応している国内ネット証券は「SBI証券」、「マネックス証券」、「楽天証券」、「auカブコム証券」の4社になります。
なかでも「SBI証券」、「マネックス証券」は買付時の手数料/スプレッドが「無料」のため特におすすめです。※売却時は一定の手数料が発生します