※本記事は2023年3月期決算発表時点の情報を元に作成してます
はじめに
結論
当サイト独断判定:Bー(慎重に組み入れを検討)
配当水準 : B
利回り4%台(執筆時点)。過去10年金額は横這いで減配なし。配当方針は累進配当政策を採用しているが、直近の配当性向は200%以上と極めて高くこのレベルの配当を継続できるか注意が必要。
財務指標 : Bー
売上は増加傾向で直近数年で大きく増加。営業利益率は12%台で業界平均以上。自己資本比率は40%台と比較的良好。営業キャッシュフローは10年間プラスも、現金残高が直近配当の約2年分と非常に心許ない。
事業内容 : Bー
中国/ロシア事業があるが事業比率が低いため地政学的リスクは限定的。欧米事業が73%程度を占めており、景気敏感性も高いため今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトは大きい。
配当水準
- 配当利回り:4.2% (24年3月期予想)※執筆時点の株価ベース
日本株で高配当と言われる水準の3%を大きく上回っていますので文句なく合格点です。
- 配当性向:207.2%(24年3月期予想)
- 配当金(絶対額): 直近10年横這い(減配なし)
配当金は2014年以降10年間一定金額(180円)で横這いで減配もありません。
配当方針は2023年から累進配当政策を採用しています。
過去10年減配が無く累進配当政策も採用していますが、直近の配当性向は極めて高く、後述の財務指標で現金資産も心許ないため、今後もこのレベルの配当を維持できるか注意が必要です。
財務指標
- 売上 : 過去10年増加傾向(直近数年で大幅増)
2014年の約1.7兆円から約4.3兆円まで増加傾向です。特に2019年以降はほぼ毎年10%以上の増加率となっています。
- 営業利益率:12.18%
2014年からの10年間は7%台~15%台の間で推移しています。
「医薬品」業界の平均が6%前後ですのでそこと比較しても一般的にも優秀な数値でしょう。
- 自己資本比率:45.5%(23年3月期実績)
40%を越えていますので、優秀とまでは言えませんが問題無いレベルです。今後金利が上昇した際は減益・減配のリスクはありますが、倒産するリスクは低いでしょう。
- フリーキャッシュフロー:直近10年でマイナス4回
- 現金資産:直近配当の約2年分(23年3月期実績)
ここ10年でフリーキャッシュフローのマイナスが4回ありますが、営業キャッシュフローは常にプラスとなっております。
現金は2023年時点で約5335億円の残高があり、これは直近配当実績の約2年分と非常に心許ない金額です。
営業キャッシュフローはプラスですが、現金資産が直近で大きく減少し残高も配当と比較して少ないため、今後景気悪化等で一時的に利益が減少した際の減配リスクには注意が必要です。
事業内容
- 海外事業比率:87.3%
- 地政学的リスクがある国・地域での事業:中国(最大5.6%)、ロシア(2.2%)
主な事業内容は製薬となっています。
地政学リスクとしては、中国事業が5%程度ありますが、ホームページには関連企業・拠点は見つかりませんでした。
ロシアについても2%程度の事業がありますが、同様にホームページで関連企業・拠点を見つけることができませんでした。
いずれにしても、事業比率が低いため地政学的リスクは限定的でしょう。
米国事業は52%あり、欧州事業も21%程度存在するため、今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトには注意が必要です。
- 若年層依存度:なし
製薬が主な事業で、若年層に偏ったビジネスではないため、今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。
- 景気敏感性:高い
ベータ値は執筆時点で「1.00」であり景気敏感性は高いです。そのため、今後景気が悪化した場合の影響には注意が必要です。
まとめ
「配当水準」は配当性向が極めて高く、「財務指標」で現金資産も心許ないため、今後の減配リスクに十分注意が必要です。
「事業内容」で欧米事業比率が大きく、景気敏感性も高いため欧米景気悪化時のリスクに注意が必要です。
累進配当政策を採用しており倒産リスクも小さいため、基本的には安定した高配当が期待できますが、減配リスクがかなり高いため、慎重に検討した上での投資判断が必要でしょう。
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