※本記事は2023年12月期2Q決算発表時点の情報を元に作成してます
はじめに
結論
当サイト独断判定:B(組み入れを検討しても良い)
配当水準 : B
利回り3%台(執筆時点)で2020年に大幅減配も元の水準以上に回復。配当性向は直近予想30%台で無理のない水準だが、配当方針が還元性向ベース(30%目途)のため今後の減益時の減配リスクに注意。
財務指標 : Aー
直近10年で売上は20年に一時的に減少するも増加傾向。営業利益率は直近約17%と優秀。自己資本比率は50%台と良好で、営業キャッシュフローは過去10年プラスで現金資産は極めて余裕がある状況。
事業内容 : C
依存度はそこまで大きくはないが、中国での生産に地政学的リスクあり。欧米依存度が大きく景気敏感性も高いため、今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトは大きい。
配当水準
- 配当利回り:3.4% (23年12月期予想)※執筆時点の株価ベース
若干物足りないですが、日本株で高配当と言われる水準の3%は上回っていますので合格点です。
- 配当性向:30.3%(23年12月期予想)
- 配当金(絶対額): 増加傾向(減配1回)
配当金は2013年~2019年は60円から130円に増加傾向(ただし2019年は記念配当落ちで減額)でしたが、2020年に90円に大幅減配し、その後2022年までに245円まで元の水準以上に回復しています。
配当方針は総還元性向ベース(30%目途)であり配当性向は無理の無い水準ですが、過去減配実績もあるため、今後の景気悪化等による減配リスクには一定の注意が必要です。
財務指標
- 売上 : 過去10年増加傾向(20年に一時減少)
2013年からの10年間で、20年に一時減少しましたが、約1381億円から約2701億円まで基本的に右肩上がりに増加しています。
- 営業利益率:16.97%(22年12月期実績)
2013年から概ね11%~15%前後で推移しています。
「電気機器」業種の平均が7%前後ですので業界平均と比較しても優秀な数値でしょう。
- 自己資本比率:57.6%(22年12月期実績)
60%近くの高い自己資本比率となっていますので、今後金利が上昇しても、それによる倒産や減益・減配のリスクは低いでしょう。
- フリーキャッシュフロー:直近10年でマイナス1回
- 現金資産:直近配当の約20年分(22年12月期実績)
ここ10年でフリーキャッシュフローはマイナスが1回ありますが、営業キャッシュフローは全てプラスになっています。
現金は2022年時点で約1388億円の残高があり、これは直近配当実績の約20年分と極めて余裕がある金額です。景気悪化等で一時的に利益が減少した際も、現金資産を取り崩して配当を維持することが可能でしょう。
事業内容
- 海外事業比率:72.8%
- 地政学的リスクがある国・地域での事業:中国・台湾
事業内容としては主に半導体機器や自動車開発等の計測機器の製造・販売となっています。
海外事業比率は86%あり海外依存度は高めです。
中国の販売比率は14.2%となっており、有価証券報告書によると2022年末時点で、中国・台湾に関係会社が7社あり地政学的リスクがあります。そのうち4社は工場(製造)機能があるようです。
ただ、製造機能のある関係会社は海外全体で22社あるため、依存度はそこまで高くないと考えます。
なお、ロシアにも製造会社が1社ありますが、事業比率は「その他」の1.9%の範囲内のためリスクはあまりないでしょう。
米国の販売比率が14.2%あり、欧州の販売比率も20.3%あり欧米市場の販売比率と依存度が大きいため今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトは大きいと思われます。
- 若年層依存度:なし
計測機器の製造・販売が主な事業であり、若年層に偏ったビジネスではないため、今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。
- 景気敏感性:高い
ベータ値は執筆時点で「1.43」であり景気敏感性は高いと考えます。そのため、今後景気が悪化した場合の影響は大きいと想定します。
まとめ
「配当水準」は比較的良好ですが、配当方針が還元性向ベースで過去減配実績もあるため、減配リスクに注意が必要です。
「財務指標」は問題ありません。
「事業内容」は一定の地政学リスクがあります。また海外依存度が大きく、今後欧米の景気が悪化した際の減益・減配のリスクに注意が必要です。
地政学的リスクと減配リスクが少なからず存在しますが、財務は良好で倒産リスクも小さいため、基本的には安定した高配当が期待できるため高配当投資の一角として検討しても良いでしょう。
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