※本記事は2023年3月期決算発表時点の情報を元に作成してます
はじめに
結論
当サイト独断判定:B+(組み入れを検討したい)
配当水準 : Aー
利回り3%台(執筆時点)。実質的に過去10年連続増配中。配当方針は実質的に累進配当政策を採用しているとみられ減配リスクは低い。
財務指標 : B+
売上は過去10年右肩上がりに増加しています。経常利益率は7%台で業界平均以上。自己資本比率は10%台と低いが保険業種としては平均的で有利子負債比率は6%台と低い。営業キャッシュフローは過去10年プラスで現金資産はそこそこあり。
事業内容 : B+
中国・台湾事業の地政学的リスクが一定程度あるが生産拠点は無く事業比率も低め。米国事業が27%程度あるが、景気敏感性が低めのため今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトは限定的。
配当水準
- 配当利回り:3.8% (24年3月期予想)※執筆時点の株価ベース
日本株で高配当と言われる水準の3%を上回っていますので合格点です。
- 配当性向:45.5%(24年3月期予想)
- 配当金(絶対額): 直近10年増配傾向(実質連続増配)
配当金は2014年以降10年間で23.3円から100円まで増配傾向です。
「資本水準調整のための一時的な配当」落ちにより2020年に一度減配していますが、これを除けば実質的には連続増配中です。
配当方針は水準についての記載はありませんが、「原則、減配はしない」との記載があり、実質的に累進配当政策を採用していると考えて良いでしょう。
実質的に連続増配中で累進配当政策を採用していると考えられるため今後も減配せずに安定配当の維持を十分期待できるでしょう。
財務指標
- 売上 : 過去10年増加傾向
2014年からの10年間で、約2.9兆円から約4.5兆円に概ね右肩上がりに増加しています。
- 経常利益率:7.6%(23年3月期実績)
経常利益率は、過去10年で2021年に一時的に4%台に落ち込みましたが、それ以外は6%~9%前後で推移しています。
「保険業」業種の同業他社は利益率4%以上が多く、それと比較しても比較的良好な利益率でしょう。
- 自己資本比率:13.1%(23年3月期実績)
- 有利子負債比率:6.14%(23年3月期実績)
低い自己資本比率となっていますが、保険金を債務に計上している保険業種は低くなる傾向があります。
同業他社と比べても比較的良好な水準で、有利子負債比率は6.14%と低く今後金利が上昇しても、それによる倒産や減益・減配のリスクは低いでしょう。
- フリーキャッシュフロー:直近10年でマイナス3回
- 現金資産:直近配当の約5年分(23年3月期実績)
ここ10年でフリーキャッシュフローがマイナスが3回ありますが、営業キャッシュフローは全てプラスになっています。現金は2023年時点で約9854億円の残高があり、これは直近配当実績の約5年分と十分ではありませんがそこそこの金額となっております。
営業キャッシュフローはプラスを10年以上キープしており現金残高もそこそこあるため景気悪化等で一時的に利益が減少した際も、しばらくは現金資産を取り崩して配当を維持することは可能でしょう。
事業内容
- 海外事業比率:42.0%
- 地政学的リスクがある国・地域での事業:中国・台湾(最大15%)
主な事業内容としては損害保険や生命保険の販売となっています。
地政学リスクとしては、関連会社の東京海上日動火災保険のホームページにグループ会社として中国6拠点、台湾1拠点の記載があります。
売上比率はわかりませんが、製造業ではないため生産拠点は無く、中国・台湾を含む「その他」地域の売上比率も15%程度でその中のさらに一部と考えると中国事業の地政学的リスクはそこまで大きくはないと考えます。
米国事業が27%程度ありますが、景気敏感性が低めのため今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトは限定的と考えます。
- 若年層依存度:なし
損害保険や生命保険の販売が主な事業で、若年層に偏ったビジネスではないため、今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。
- 景気敏感性:低い
ベータ値は執筆時点で「0.69」であり景気敏感性は低いと考えます。そのため、今後景気が悪化した場合の影響は抑えられるでしょう。
まとめ
「配当水準」は良好で「財務指標」は大きな問題はありません。
「事業内容」に中国・台湾事業の地政学的リスクがありますが、生産拠点は無く、事業比率も低めのためリスクは限定的でしょう。
地政学的リスクは若干ありますが、財務も比較的良好で倒産リスクも小さく、基本的には安定した高配当が期待できるため高配当投資の一角として検討に値するでしょう。
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