※本記事は2023年3月期決算発表時点の情報を元に作成してます
はじめに
結論
当サイト独断判定:B+(組み入れを検討したい)
配当水準 : B
利回り4%台(執筆時点)。過去10年は増配傾向からの2019年の大幅減配、その後回復傾向も2023年に減益で再び減配で結果的に直近7年は横這い傾向。配当性向が直近予想50%台と若干高く、配当方針が配当性向ベース(30%)となっているため今後の減配リスクに注意が必要。
財務指標 : B+
売上は過去10年で2019年まで上昇傾向も、以降は減少傾向となり結果的に横這い傾向。インフレによるコスト上昇により営業利益率が直近で5%前後に低下。自己資本比率は60%台と十分で、営業キャッシュフローは過去10年プラスで現金資産も十分余裕あり。
事業内容 : A
若年層に依存しない国内中心のビジネスで景気敏感性も低い。
配当水準
- 配当利回り:4.8% (24年3月期予想)
日本株で高配当と言われる水準の3%を大きく上回っていますので文句なく合格点です。
- 配当性向:54.7%(24年3月期予想)
- 配当金(絶対額): 横ばい傾向(減配2回)
配当金は2014年から上昇傾向でしたが、2019年に赤字転落で大幅減配。その後は2022年までに元の水準近く回復してきていましたが、2023年は減益のため再び減配となってます。
結果的に、この直近7年間は「行って来い」のほぼ横ばい傾向となっています。
配当方針は配当性向ベース(30%)となっており、ここ数年は配当性向30%前後で推移していましたが、2023年は下方修正があり配当性向が82%に上がっています。配当性向が大幅に上がっても当初の配当金額予想を変えなかった点は評価ポイントです。
2024年は配当性向を50%台に上げて前期と同額の配当予想としていますが、配当方針は配当性向30%で変えていないため減配リスクにはある程度注意が必要と考えます。
財務指標
- 売上 : 横ばい傾向
過去10年間で2019年まで上昇傾向でしたが、以降は徐々に売上が下がってきてほぼ元の水準まで戻ってしまっており、結果的として横這い傾向となっています。
2023年はわずかに上昇しており、2024年も若干の増加予想となっています。このまま、わずかでも上昇継続できれば問題ありませんが、再び減少傾向にならないか注意が必要です。
- 営業利益率:4.8%(23年3月期実績)
2016年3月期の14.62%をピークに減少中で、2024年3月期の予想も5.3%となっております。製造業全体の売上高営業利益率の平均は4.5%前後と言われていますので、業界標準レベルの水準ではありますが物足りなさは否めず、インフレ進行時の減益・減配リスクには注意が必要です。
2021年と2022年は8~9%ありましたので、2023年以降の営業利益率の低下はインフレによる原材料・エネルギー価格の高騰の影響が大きいと思われます。コスト上昇の価格転嫁が進めば回復していくと思われますが、2024年も同等水準の予想となっており回復には時間がかかると思われます。
- 自己資本比率:65.1%(23年3月期実績)
60%を越えた高い自己資本比率となっています。有利子負債も少なく今後金利が上昇しても、それによる倒産や減益・減配のリスクは低いでしょう。
- フリーキャッシュフロー:10年でマイナス1回
- 現金資産:直近配当の約15年分(23年3月期実績)
ここ10年で2020年を除いてフリーキャッシュフローのプラスを維持しており、営業キャッシュフローは常にプラスとなっております。現金は2023年時点で約70億円の残高があり、これは直近配当実績の約15年分と十分余裕がある金額です。
このレベルのキャッシュがあれば、景気悪化等で一時的に利益が減少した際も、現金資産を取り崩して配当を維持することは可能でしょう。
事業内容
- 海外事業比率:情報なし
- 地政学的リスクがある国・地域での事業:情報なし(2022年9月に中国販売撤退)
事業内容は、ビル外壁材を中心とした建築材料の製造・販売と施工・監理となっております。
2022年までは中国で販売をしていたようですが、コロナでのロックダウンで売上が低迷したのを契機に撤退しています。
中国以外の海外への販売の情報は見つけられませんでしたが、決算資料でも海外販売について触れていませんので、あったとしても比率はかなり低いと想定されます。そのため、地政学的リスクも小さく、今後海外の景気が悪くなった場合のインパクトの幅も小さいと思われます。
- 若年層依存度:なし
ビル向け外壁材のメーカーであり、特定の年齢層をターゲットとしたビジネスではないため、今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。
- 景気敏感性:低い
業種分類は「ガラス土石」であり景気動向に敏感な素材産業に該当しますが、ベータ値は執筆時点で「0.49」であり景気敏感性は低いと考えます。そのため、今後景気が悪化した場合の影響は比較的抑えられるでしょう。
まとめ
「配当水準」は良好ですが配当性方針が配当性向ベースで、直近の配当性向が若干高めのため減益時の減配リスクに注意が必要です。
「財務指標」では営業利益率が低めでインフレ進行時の減配リスクに注意が必要です。
「事業内容」は地政学的リスクは低く、海外事業もほぼ無く景気敏感性も低くなっています。そのため、海外の景気が悪化した際の減益・減配のリスクは抑えられるでしょう。
減配リスクは少なからず存在しますが、財務良好で倒産リスクも小さいため、基本的には安定した高配当が期待できるため高配当投資の一角として検討に値するでしょう。
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