※本記事は2022年12月期決算発表時点の情報を元に作成してます
はじめに
結論
当サイト独断判定:B+(組み入れを検討したい)
配当水準 : B+
利回り4%台(執筆時点)で過去10年増加傾向も一度減配。配当性向は直近予想30%台で無理のない水準だが、配当方針が還元性向ベース(40%以上)で金額下限も現状の約半額(30円)と低く、過去減配実績もあるため今後の減配リスクには十分注意。
財務指標 : B+
売上は過去10年横ばい傾向も、直近はエネルギー価格上昇と円安で大幅に増加。営業利益率は直近予想50%台でロイヤリティ支払い考慮しても30%台程度で非常に優秀。自己資本比率も60%台と良好で営業キャッシュフローも過去10年プラスだが現金資産は直近配当の約3年分と若干心許ない。
事業内容 : B
地政学的リスクは低めだが、欧州事業が最大15%程度あり景気敏感性も高いため、今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトにある程度注意が必要。
配当水準
- 配当利回り:4.3% (23年12月期予想)※執筆時点の株価ベース
日本株で高配当と言われる水準の3%を大きく上回っていますので文句なく合格点です。
- 配当性向:31%(23年12月期予想)
- 配当金(絶対額): 直近10年増加傾向(減配1回)
配当金は2018年まで横ばい傾向でしたが、その後直近の2022年まで増加傾向です。ただし、2020年の赤字転落の際に一度減配しています。
現在の配当方針は、自社株買いも含めての総還元性向40%以上目途で、配当は下限を30円(現状の約半額)としています。
ここ数年の状況からは、配当性向は基本30%程度とするが、その計算で金額が前年より大きく上回ってしまう場合は自社株買いに回して、配当性向を下げる方向性のように見えます。一時的な要因で大きく利益が増えた場合の配当金の乱高下を避けたいということかもしれません。
23年は減益予想ですが、配当金額は22年から2円増配予想で、配当性向を19%から31%まで上げています。配当性向30%台はまだ余裕がある数値ですが、後述の財務指標から現金資産にあまり余裕が無いため、今後さらに減益が続いた場合の減配リスクには注意が必要です。
財務指標
- 売上 : 過去10年横ばい傾向(直近大幅増)
過去10年で2021年までは約1兆円前後でほぼ横ばいでしたが、直近の2022年は約2.3兆円に大幅に増加しています。これはエネルギー価格の上昇と円安が主要因になります。
- 営業利益率:53.62%(23年12月期予想)
過去10年では、2020年に一時約32%まで落ち込みましたが、それ以外は40%~50%前後で推移しています。
非常に高い営業利益率ですが、資源採掘国に支払うロイヤリティを考慮すると実質は30%前後と考えれば良いでしょう。それでも非常に優秀な数値です。
- 自己資本比率:60.3%(22年12月期実績)
60%を越えた高い自己資本比率となっています。有利子負債が増加傾向なのが若干気になりますが、今後金利が上昇しても、それによる倒産や減益・減配のリスクは低いでしょう。
- フリーキャッシュフロー:直近10年でマイナス6回
- 現金資産:直近配当の約3年分(22年12月期実績)
ここ10年でフリーキャッシュフローがマイナスが6回ありますが、営業キャッシュフローは全てプラスになっています。現金は2022年時点で約2100億円の残高があり、これは直近配当実績の約3年分と若干心許ない金額です。
営業キャッシュフローはプラスを10年以上キープしていますが、現金残高が配当と比較すると少な目で今後景気悪化等で一時的に利益が減少した際の減配リスクには注意が必要です。
事業内容
- 海外事業比率:60.9%
- 地政学的リスクがある国・地域での事業:中国(14.9%)
主な事業内容としては石油・天然ガス開発になります。
地政学的リスクとしては中国への販売が14.9%程度ありますが、石油・天然ガスは世界中でニーズがありますので仮にリスクが顕在化しても他の地域に振り分けることは難しくないでしょう。
またロシアでの採掘にも一部参画しているようですが、欧州・NIS諸国合わせて13.7%の事業比率で、その中のさらに一部と考えると比率はそれほど大きくはないでしょう。
米国の販売比率は1.4%と低いですが、欧州は上記13.7%のある程度を占めていると思われるため、今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトには一定の注意が必要です。
- 若年層依存度:なし
石油・天然ガス開発が主な事業であり、若年層に偏ったビジネスではないため、今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。
- 景気敏感性:高い
業種分類としては景気敏感性が高い「鉱業」に該当し、ベータ値も執筆時点で「1.74」あり景気敏感性は高いと考えます。そのため、今後景気が悪化した場合の影響は大きいと想定します。
まとめ
「配当水準」は比較的良好ですが、最低配当金額が現状の約半額と低いため、景気悪化で減益した際の減配の可能性には注意が必要です。
「財務指標」はほぼ問題はありませんが、現金残高が直近配当に比べて若干心許ありません。
「事業内容」は地政学リスクは低めですが、欧州の比率が一定度あると想定され景気敏感性も高いため、欧米の景気が悪化した際の減益・減配のリスクにはある程度は注意が必要です。
欧米景気悪化時の減配リスクには一定の注意が必要ですが、財務が比較的良好で倒産リスクも小さく、基本的には安定した高配当が期待できるため高配当株投資の一角として検討に値するでしょう。
これから国内高配当株投資を始める方へ
高配当株式投資は、財務体質がしっかりした安定配当が期待できる企業への分散投資が重要です。分散を十分に効かせるためには最低でも数十社に分散させることが望ましいです。
そこで問題になってくるのが、「単元株数」です。
株式は、各銘柄ごとに100株/口等の売買の最低限の単元株数が決まっています。そのため、1回取引するたびに、最低でもこの単元株数分の株式を購入する必要があります。例えば、1株1000円で単元株数が100の株式であれば、1回の取引で最低でも1000円x100=10万円分購入する必要があります。
そのため、分散のため数十社分の株式を購入するとなると、1回で最低でも数百万円ぐらい必要になってきます。これでは、資産がまだそれほど多くない場合は心理的に購入を躊躇してしまいますし、時間を分散して何回かに分けて投資することも難しいでしょう。
そこで、おすすめなのがこの単元株数に満たなくても1株から購入できる単元未満株取引です。執筆時点でこの単元未満株取引に対応している国内ネット証券は「SBI証券」、「マネックス証券」、「楽天証券」、「auカブコム証券」の4社になります。
なかでも「SBI証券」、「マネックス証券」は買付時の手数料/スプレッドが「無料」のため特におすすめです。※売却時は一定の手数料が発生します