三菱HCキャピタル(8593)

銘柄情報

当サイトに掲載されている投資に関する見解は、個人の主観・感想を元に作成したものであり、特定の銘柄・金融商品の勧誘や上昇・下降を予想/示唆するものでもありません。また、運用成果や投資収益を保証するものではありません。最終的な投資の意思決定はご自身の責任と判断でお願いします

※本記事は2023年3月期決算発表時点の情報を元に作成してます

はじめに

結論

当サイト独断判定B+(組み入れを検討したい)

配当水準 : Aー
利回り4%台(執筆時点)。過去10年以上連続増配中配当方針は配当性向ベースだが、直近配当性向は無理のない水準で、過去減配なく連続増配中であることを考慮すると減配リスクは低い

財務指標 : B
売上は過去10年増加傾向。営業利益率は7%台と比較的良好。自己資本比率は10%台だがリース業種としては低くはなく金利上昇への対策も実施。営業キャッシュフローは過去10年でマイナス8回あるも現金資産は余裕あり

事業内容 : B
若年層に依存しないビジネス。中国事業の地政学的リスクが一定程度あるが生産拠点は無く事業比率も低め。欧米事業が最大20%程度あり景気敏感性が高いため今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトに注意

配当水準


  • 配当利回り:4.8% (24年3月期予想)※執筆時点の株価ベース

日本株で高配当と言われる水準の3%を大きく上回っていますので文句なく合格点です。

  • 配当性向:44.3%(24年3月期予想)
  • 配当金(絶対額): 直近10年増配傾向(連続増配)

配当金は2014年以降10年間で8円から33円まで減配無く連続増配中です。

配当方針は配当性向ベース(40%以上)としています。

方針は配当性向ベースですが、配当性向は無理の無い水準で、過去減配無く連続増配していること考慮すると今後も減配せずに安定配当の維持を十分期待できるでしょう。

財務指標


  • 売上 : 過去10年増加傾向

2014年からの10年間で、約7178億円から約1.9兆円に増加傾向です。なお2022年に大幅に売上が増加していますが、これは主に会社合併によるものです。

  • 営業利益率:7.32%(23年3月期実績)

営業利益率は、過去10年は概ね9%~10%程度で推移していましたが、2021年以降は6%~7%程度に低下しています。

「その他金融業」業種の中では決して高い利益率ではありませんが、一般的には比較的良好な利益率でしょう。

  • 自己資本比率:14.3%(23年3月期実績)

低い自己資本比率となっていますが、リース事業はリース資産の購入に必要な多額の資金を債務で調達するため自己資本比率が低くなる傾向があります。

同業他社と比べて特別低い水準ではなく、リース資産の調達期間と債務の期間をマッチングさせることで金利上昇リスクの低減も行っているとのことですので、今後金利が上昇した際は一定の注意は必要ですが減益・減配のリスクは限定的と考えます。

  • フリーキャッシュフロー:直近10年でマイナス8回
  • 現金資産:直近配当の約11年分(23年3月期実績)

ここ10年でフリーキャッシュフローがマイナスが8回、営業キャッシュフローもマイナスが8回あります。

現金は2023年時点で約4605億円の残高があり、これは直近配当実績の約11年分とかなり余裕がある金額です。

キャッシュフローのマイナスが多い点は注意が必要ですが、現金残高に余裕があるため景気悪化等で一時的に利益が減少した際も、しばらくは現金資産を取り崩して配当を維持することが可能でしょう。

事業内容


  • 海外事業比率:27.0%
  • 地政学的リスクがある国・地域での事業:中国(最大5.7

主な事業内容としては各種機械・器具備品のリース提供となっています。

地政学リスクとしては、ホームページに中国7拠点の記載があります。売上比率はわかりませんが、製造業ではないため生産拠点は無く、中国を含む「アジア・オセアニア」地域の売上比率も6%程度でその中のさらに一部と考えると中国の地政学的リスクはそこまで大きくはないと考えます。

なお、ロシアについては拠点はなく、債権残高も約5億円と軽微でほぼ全てを貿易保険でカバーしているとのことです。

欧米事業が最大で20%程度あり、今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトにある程度は注意が必要です。

  • 若年層依存度:なし

各種機械・器具備品のリースが主な事業で、若年層に偏ったビジネスではないため今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。

  • 景気敏感性:低い

ベータ値は執筆時点で「1.12」であり景気敏感性は高いです。そのため、今後景気が悪化した場合の影響には注意が必要です。

まとめ

「配当水準」は良好ですが、「財務指標」でキャッシュフローのマイナスが多い点は一定の注意が必要です。

「事業内容」に中国事業の地政学的リスクが若干あります。また欧米事業がそこそこあり、景気敏感性も高いため欧米景気悪化時のリスクにも注意が必要です。

地政学的リスクや欧米景気悪化リスクには一定の注意が必要ですが、キャッシュフローを除けば財務も比較的良好で倒産リスクも小さく、基本的には安定した高配当が期待できるため高配当投資の一角として検討に値するでしょう。

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