三菱UFJフィナンシャルG(8306)

銘柄情報

当サイトに掲載されている投資に関する見解は、個人の主観・感想を元に作成したものであり、特定の銘柄・金融商品の勧誘や上昇・下降を予想/示唆するものでもありません。また、運用成果や投資収益を保証するものではありません。最終的な投資の意思決定はご自身の責任と判断でお願いします

※本記事は2023年3月期決算発表時点の情報を元に作成してます

はじめに

結論

当サイト独断判定B+(組み入れを検討したい)

配当水準 : A
利回り4%台(執筆時点)。過去10年増配傾向減配なし配当方針は累進配当政策を採用しており減配リスクは低い

財務指標 : B+
売上は増加傾向直近は大幅増。銀行業のため自己資本比率は4%台と低いが、経常利益率は一時的要因を除けば優秀でCET1比率も10%台で大手銀行としては標準的。営業キャッシュフローは過去10年マイナス1回あるが現金資産は増加傾向

事業内容 : B
若年層依存度は低い。大きくはないが中国事業の地政学的リスクがあり、ロシア事業も追加減損リスクあり。米国事業が18%程度あり、景気敏感性も高いため欧米の景気が悪くなった場合のインパクトに注意

配当水準


  • 配当利回り:4.2% (24年3月期予想)※執筆時点の株価ベース

日本株で高配当と言われる水準の3%を大きく上回っていますので文句なく合格点です。

  • 配当性向:37.9%(24年3月期予想)
  • 配当金(絶対額): 直近10年増配傾向(減配なし)

配当金は2014年以降10年間で0円から32円まで増配傾向減配もありません

配当方針は累進配当政策を採用しています。

直近の配当性向は無理の無い水準で、累進配当政策を採用しており過去減配の実績も無いため今後も減配せずに安定配当の維持を十分期待できるでしょう。

財務指標


  • 売上 : 過去10年増加傾向(一時減少も回復)

2014年から2020年まで約5.2兆円から7.3兆円まで増加、2021年に約6.2兆円まで一時減少しましたが、その後2023年までに9兆円台と元の水準以上に回復しています。

  • 経常利益率:11.0%(23年3月期実績)

経常利益率は2017年以降は概ね17%~25%前後で推移しています。直近の2023年は11%に大きく低下していますが、主要因はMUB株式譲渡に伴う費用や損失であり一時的なものとしています。

一時的な要因を除いた利益率は「銀行業」業種の中では上位であり、一般的にも優秀な利益率でしょう。

  • 自己資本比率:4.5%(23年3月期実績)
  • CET1比率:10.7%(23年3月期実績)

低い自己資本比率となっていますが、預金を債務に計上している銀行業種は低くなる傾向があります。貸し倒れ等のリスク資産に対する自己資本比率であるCET1比率は10.7%と大手銀行としては標準的であり、倒産リスクは低いでしょう。

  • フリーキャッシュフロー:直近10年でマイナス1回
  • 現金資産:過去10年増加傾向

ここ10年でフリーキャッシュフローのマイナスが1回、営業キャッシュフローのマイナスが1回ありますが、現金資産は過去10年増加傾向であり大きな問題はないでしょう。

現金資産は増加傾向であり、CET1比率も標準的ですので景気悪化等で一時的に利益が減少した際も、しばらくは自己資本を取り崩して配当を維持することは可能でしょう。

事業内容


  • 海外事業比率:44.9%
  • 地政学的リスクがある国・地域での事業:中国(最大19.7)、ロシア(不明)

主な事業内容は銀行や証券等の金融サービスの提供となっています。

地政学リスクとしては、三菱UFJ銀行のホームページに中国15拠点、台湾2拠点、ロシア2拠点の記載があります。

ロシアは2022年に約1400億円を引き当ててますが、2023年時点で与信残高が約2600億円あります。今後の追加減損リスクには一定の注意が必要です。

中国の売上比率はわかりませんが、製造業ではないため生産拠点は無く、中国を含む「アジア・オセアニア」地域の売上比率も20%程度でその中のさらに一部と考えると中国事業の地政学的リスクはそこまで大きくはないと考えます。

米国事業が18%程度あり、今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトにもある程度注意が必要です

  • 若年層依存度:なし

金融サービスの提供が主な事業で、若年層に偏ったビジネスではないため、今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。

  • 景気敏感性:高い

ベータ値は執筆時点で「1.04」であり景気敏感性は高いです。そのため、今後景気が悪化した場合の影響には注意が必要です。

まとめ

「配当水準」「財務指標」はどちらも大きな問題はなく、高配当株式投資に適した内容となっています。

「事業内容」に大きくはないですが中国の地政学的リスクとロシアの減損リスクがあります。また、米国事業がそこそこあり景気敏感性も高いため、欧米景気悪化時のリスクに注意が必要です。

地政学的リスクと欧米景気悪化時の減益リスクに一定の注意が必要ですが、財務は良好で倒産リスクも小さく、基本的には安定した高配当が期待できるため高配当投資の一角として検討に値するでしょう。

これから国内高配当株投資を始める方へ

高配当株式投資は、財務体質がしっかりした安定配当が期待できる企業への分散投資が重要です。分散を十分に効かせるためには最低でも数十社に分散させることが望ましいです。

そこで問題になってくるのが、「単元株数」です。

株式は、各銘柄ごとに100株/口等の売買の最低限の単元株数が決まっています。そのため、1回取引するたびに、最低でもこの単元株数分の株式を購入する必要があります。例えば、1株1000円で単元株数が100の株式であれば、1回の取引で最低でも1000円x100=10万円分購入する必要があります。

そのため、分散のため数十社分の株式を購入するとなると、1回で最低でも数百万円ぐらい必要になってきます。これでは、資産がまだそれほど多くない場合は心理的に購入を躊躇してしまいますし、時間を分散して何回かに分けて投資することも難しいでしょう。

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