※本記事は2023年3月期決算発表時点の情報を元に作成してます
はじめに
結論
当サイト独断判定:Bー(慎重に組み入れを検討)
配当水準 :A
利回り4%台(執筆時点)。配当方針は総還元性向ベース(50%以上)で下限を直近配当予想の22円に設定。配当性向30%台で余裕あり、過去赤字の際も減配を回避しており減配リスクは低い。
財務指標 : C
売上は過去横ばい傾向も直近は大きく上昇。営業利益率は2%弱と低く、自己資本比率も30%弱と心許ない。営業キャッシュフローも直近マイナスで現金資産は直近配当の約4年分と少なめ。
事業内容 : C
若年層依存度は低いが、中国事業があり製造拠点も存在するため地政学リスクが高い。景気敏感性が高く欧米事業も存在するが、事業比率は最大でも17%程度で今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトは限定的。
配当水準
- 配当利回り:4.6% (24年3月期予想)※執筆時点の株価ベース
日本株で高配当と言われる水準の3%を大きく上回っていますので文句なく合格点です。
- 配当性向:36.8%(24年3月期予想)
- 配当金(絶対額): 10年間で上昇(減配なし)
配当金は過去10年で16円から22円まで増配傾向で減配もありません。
配当方針は総還元性向ベース(50%以上)で下限22円としています。実際2020年の赤字の際にも減配せずに配当しています。
配当性向も30%台と無理のない水準で、下限金額が直近配当と同水準に置かれているため、今後も減配せずに安定配当が十分期待できるでしょう。
財務指標
- 売上 : 横這い傾向(直近大幅増加)
2022年までは7兆円~12兆円あたりで増減を繰り返して全体的に横這い傾向でしたが、直近は15兆円と大きく増加しています。ただし、2024年は13兆円に減少予想となっております。
- 営業利益率:1.87%(23年3月期実績)
赤字の際を除き概ね2~5%前後で推移しています。なお、2022年は主に円安によるエネルギー在庫の利益増により一時的に7%台に上昇してます。
「石油・石炭製品」業種の平均となる6%前後と比較しても、一般的にも低い水準となっており、インフレ進行時の減益・減配リスクには注意が必要です。
- 自己資本比率:28.7%(23年3月期実績)
30%弱の低めの自己資本比率となっています。倒産とまではいかなくても、今後金利が上昇した際の減益・減配のリスクは大きく注意が必要です。
- フリーキャッシュフロー:直近10年でマイナス4回
- 現金資産:直近配当の約4年分(23年3月期実績)
ここ10年でフリーキャッシュフローはマイナスが4回、営業キャッシュフローは直近の2023年にマイナスとなっています。これは運転資金の増加等の要因としています。
現金は2023年時点で約3115億円の残高があり、これは直近配当実績の約4年分と若干心許ない金額です。
営業キャッシュフローは直近でマイナスとなっており、現金残高が配当と比較すると少な目で今後景気悪化等で一時的に利益が減少した際の減配リスクには注意が必要です。
事業内容
- 海外事業比率:22.5%
- 地政学的リスクがある国・地域での事業:中国(5.6%)
主な事業内容は石油、天然ガスなどのエネルギー資源の精製・販売となっています。
中国事業が約5.6%存在してます。ホームページや決算資料にも中国のグループ会社が10か所以上記載されており、そのうち5か所程度は潤滑油の製造拠点となっており地政学的リスクは高いと考えます。
欧米を含む「その他」地域の売上比率は17%程度で、今後欧米の景気が悪くなった場合のリスクはあるもののインパクトは限定的と思われます。
- 若年層依存度:なし
石油、天然ガスなどのエネルギー資源の精製・販売が主な事業内容であり、若年層に偏ったビジネスではないため、今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。
- 景気敏感性:高い
業種分類としては景気動向に敏感な「石油・石炭製品」に該当し、ベータ値は執筆時点で「1.01」であり景気敏感性は高いと考えます。
ただ、欧米事業比率はそこまで高くはないため今後欧米の景気が悪化した場合の影響は限定的と想定します。
まとめ
「配当水準」は過去10年減配が無く、下限金額が直近配当と同水準に設定されているため減配リスクは低いでしょう。
「財務指標」は営業利益率・自己資本比率ともに低めで、現金残高も若干心許ありません。
「事業内容」は中国事業があり、製造拠点も多いため地政学的リスクが高く注意が必要です。
配当水準が良好で倒産リスクも高くはないため安定した高配当が期待できますが、財務が心許なく地政学的リスクも高いため、慎重に検討した上での投資判断が必要でしょう。
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