※本記事は2023年3月期決算発表時点の情報を元に作成してます
はじめに
結論
当サイト独断判定:Aー(前向きに組み入れを検討)
配当水準 : A
利回り5%台(執筆時点)で過去10年増配傾向で実質減配無し。配当方針は金額ベースで配当性向も40%台と無理の無い水準。
財務指標 : A
直近10年売上は緩やかに増加傾向で営業利益率も10%台と良好。自己資本比率も60%台と高く、フリーキャッシュフローは過去10年プラスで現金資産は極めて余裕あり。
事業内容 : B
取引先の割合が高めの自動車業界は若年層に依存しないビジネスだが、間接的な地政学的リスクは少なからず存在し、景気敏感性も高い。
配当水準
- 配当利回り:5.3% (24年3月期予想)※執筆時点の株価ベース
日本株で高配当と言われる水準の3%を大きく上回っていますので文句なく合格点です。
- 配当性向:49.4%(24年3月期予想)
- 配当金(絶対額): 過去10年増加傾向(実質減配無し)
配当金は過去10年で12円から40円と増加傾向です。2017年に一度減配していますが、これは前期の記念配当落ちの影響であり、実質的には直近10年は減配無しと考えて良いでしょう。
配当方針は金額ベースであり、2017年まで12円、2020年まで24円、2022年まで30円と着実に増加してます。直近では2023年は40円、2024年は50円予想と増配ペースが上がっています。
基本的に金額固定であり、配当性向も40%台と無理のない水準ですので、今後も減配せずに着実な増配と安定配当が十分期待できるでしょう。
財務指標
- 売上 : 過去10年緩やかに増加(2021年に減少も回復)
2014年の約44億円から、2023年の約54億円まで緩やかに増加しています。2021年に売上が落ち込みましたが、2023年までに以前の水準に回復しています。
- 営業利益率:10.54%(23年3月期実績)
2014年の3.39%から2023年の10.54%まで上昇しています。売上と同様に、2021年に一度5%台まで落ち込みましたが、2023年までに以前の水準に回復しています。
「サービス業」業種は営業利益率の差が大きく業界平均としての単純な比較は難しいですが、10%程度の営業利益率は一般的に良好な数値でしょう。
- 自己資本比率:63%(23年3月期実績)
60%を越えた高い自己資本比率となっており、今後金利が上昇しても、それによる倒産や減益・減配のリスクは低いでしょう。
- フリーキャッシュフロー:直近10年プラス
- 現金資産:直近配当の約28年分(23年3月期実績)
ここ10年でフリーキャッシュフローは常にプラス、営業キャッシュフローは2014年に一度マイナスになりましたが、その後は常にプラスとなっています。
現金は2023年時点で約34億円の残高があり、これは直近配当実績の約28年分と極めて余裕がある金額です。景気悪化等で一時的に利益が減少した際も、現金資産を取り崩して配当を維持することが可能でしょう。
事業内容
- 海外事業比率:情報なし
- 地政学的リスクがある国・地域での事業:情報なし
事業内容は製造業を中心としたエンジニアの派遣になります。主要取引先にトヨタ自動車、デンソーテクノ、いすゞ自動車といった自動車関連企業の名前があり、比率はわかりませんが自動車産業の割合が比較的多め思われます。
ホームページには海外事業や拠点の情報が無く、決算資料でも「当社の営業地域は日本国内に限られている」との記述があるため、海外事業はほぼ無いと考えて良いでしょう。
ただし、派遣先のビジネス状況に大きく左右される業態で、自動車業界の割合が比較的多めと思われるため、地政学的リスクや欧米景気悪化によるリスクはある程度は存在するでしょう。
- 若年層依存度:なし
事業内容は製造業を主要な顧客としたエンジニアの派遣となっており、特定の年齢層をターゲットとしたビジネスではないため、今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。
- 景気敏感性:高い
派遣先の景気敏感性に左右される業態ですが、自動車業界は景気敏感性が高い業種で、ベータ値も執筆時点で「1.53」であり景気敏感性は高いと考えます。そのため、今後景気が悪化した場合の影響は大きいと想定します。
まとめ
「配当水準」と「財務指標」は文句なく高配当株式投資に適した内容となっています。
「事業内容」で顧客割合が高めの自動車業界に地政学的リスクがあり、海外事業への依存度も高いため欧米の景気が悪化した際の減益・減配のリスクにはある程度注意が必要です。
ただし、それ以外は全く問題なく、よほどのことがない限り今後も安定した高配当を維持することが期待できるでしょう。
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