キリンホールディングス(2503)

銘柄情報

当サイトに掲載されている投資に関する見解は、個人の主観・感想を元に作成したものであり、特定の銘柄・金融商品の勧誘や上昇・下降を予想/示唆するものでもありません。また、運用成果や投資収益を保証するものではありません。最終的な投資の意思決定はご自身の責任と判断でお願いします

※本記事は2023年12月期1Q決算発表時点の情報を元に作成してます

はじめに

結論

当サイト独断判定Bー(慎重に組み入れを検討)

配当水準 : B+
利回り3%台(執筆時点)で過去10年で増加傾向減配無し。配当方針は配当性向ベース(40%)だが、独自の利益基準により金額変動を抑制し安定した配当を実現。独自の利益基準の水準を今後どこまで維持できるかについては一定の注意が必要

財務指標 : C+
売上は2016年以降は横ばい傾向。営業利益率は5%台と業界平均並み自己資本比率が30%台で若干低め。キャッシュフローは10年間プラスも直近で大きく減少し、現金残高も直近配当の約2年分と非常に心許ない

事業内容 : B
若年層に依存しないビジネス中国の地政学的リスクが若干ながら存在。米国事業が2割程度あり景気敏感性も高いため欧米の景気が悪くなった場合のインパクトは大きい

配当水準


  • 配当利回り:3.3% (23年12月期予想)※執筆時点の株価ベース

若干物足りないですが、日本株で高配当と言われる水準の3%は上回っていますので合格点です。

  • 配当性向:49.5%(23年12月期予想)
  • 配当金(絶対額): 過去10年増加傾向(減配なし)

配当金は過去10年で36円から69円と増加傾向で、減配もありません

配当方針は配当性向ベース(40%以上)となっておりますが、計算に使用する利益は「その他の営業収益・費用等の非経常項目を除外し、より実質的な収益力を反映させるための調整」をした平準化当期利益を使用しています。

平準化当期利益の計算式は、「平準化当期利益=当期利益±税金等調整後その他の営業収益・費用等」となっています。営業利益が減少した年はこの「税金等調整後その他の営業収益・費用」のプラスが多くなり結果的に平準化当期利益の減少幅は小さくなっています。

実際にどのような収益を計上しているのかは決算資料から読み取れませんでしたが、結果的にこの平準化利益の変動は少なく安定的な配当を実現しています。

配当性向は直近で50%弱で高めで配当方針も配当性向ベースですが、過去10年減配が無く、独自の基準により配当の変動を抑えており、今後も減配せずに安定した配当を維持することが期待されます。ただし、今後いつまで独自基準の利益水準を維持できるかについては一定の注意が必要でしょう。

財務指標


  • 売上 : 横ばい傾向

過去10年間で2013年の約2.3兆円からは減少していますが、2016年以降は1.9兆円前後でほぼ横ばいで推移しています。

  • 営業利益率:5.83%(22年12月期実績)

2017年/2018年の10%以上となった年を除くと、10年間は概ね4%~5%前後で推移しています。

「食料品」業種の営業利益率は4%前後ですので、おおよそ業界平均並みの営業利益率でしょう。

  • 自己資本比率:38.5%(22年12月期実績)

30%台の若干低めの自己資本比率となっています。倒産とまではいかなくても、今後金利が上昇した際の減益・減配のリスクは大きく注意が必要です。

  • フリーキャッシュフロー:直近10年は常にプラス
  • 現金資産:直近配当の約2年分(22年12月期実績)

ここ10年でフリーキャッシュフロー、営業キャッシュフローともに常にプラスとなっていますが、2022年の営業キャッシュフローは前年比で4割近く減少しています。

現金は2022年時点で約880億円の残高があり、これは直近配当実績の約2年分と非常に心許ない金額です。

キャッシュフローはプラスですが直近のフローが減少しており、現金資産も減少傾向で残高も配当と比較して少ないため、今後景気悪化等で一時的に利益が減少した際の減配リスクには注意が必要です。

事業内容


  • 海外事業比率:41.7%
  • 地政学的リスクがある国・地域での事業:中国

主な事業内容は、ビールや各種飲料の製造・販売となっています。

ホームページには、中国、ロシアの拠点情報の記載はありません。ただ、決算資料に中国での販売に言及している部分があり比率は不明ですが販売は行っていると考えます。中国が含まれるであろう「その他」地域での比率は9.4%程度となっていおり、大きくは無いですが若干の地政学的リスクはあるでしょう。

米国の販売比率が23.1%程度あるため、今後欧米の景気が悪くなった場合のインパクトもそこそこあると考えます。

  • 若年層依存度:なし

事業内容がビールや各種飲料の製造・販売となっており、特定の年齢層をターゲットとしたビジネスではないため、今後の少子高齢化進行に伴う売上への影響は少ないと考えられます。

  • 景気敏感性:高い

ベータ値は執筆時点で「0.90」であり景気敏感性は高めと考えます。そのため、今後景気が悪化した場合の影響は大きいと想定します。

まとめ

「配当水準」は高配当株式投資に適した内容となっていますが、独自の利益基準の持続性には一定の注意が必要です。

「財務指標」は、自己資本比率が若干低めで、現金資産も心許ない水準です。

「事業内容」は若干ですが地政学的リスクがあります。また、米国事業が2割程度あるため欧米の景気悪化時の影響に注意が必要です。

過去減配なく安定した配当を実現しており基本的には今後も安定した配当を期待できますが、財務が若干心許なく、地政学的リスクや欧米景気悪化の影響もあるため、慎重に検討した上での投資判断が必要でしょう。

これから国内高配当株投資を始める方へ

高配当株式投資は、財務体質がしっかりした安定配当が期待できる企業への分散投資が重要です。分散を十分に効かせるためには最低でも数十社に分散させることが望ましいです。

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そのため、分散のため数十社分の株式を購入するとなると、1回で最低でも数百万円ぐらい必要になってきます。これでは、資産がまだそれほど多くない場合は心理的に購入を躊躇してしまいますし、時間を分散して何回かに分けて投資することも難しいでしょう。

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